負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

堂安律、今私が最も期待する男の名である

世の中の日本人「カー娘のもぐもぐタイムが可愛い!ザキトワが秋田犬飼いはじめた!大谷翔平の二刀流がロサンゼルスで大絶賛!日本相撲協会が何か問題を起こしているぞ、とにかく叩け!」

 

そんな日本凄いですね報道や、悪者を糾弾することでエクスタシーを満たす現代人の姿に飽き飽きしている今の自分を活気づけてくれる男がいる。

堂安律、今サッカーオランダリーグでメディアの無関心を気にせず孤軍奮闘を続け、大きな夢を追う兵庫県出身の左利き選手だ。

ウィング大国オランダで、果敢にサイドを切り裂き挑戦し続ける堂安の野心的な姿はとても刺激的であり、日本サッカー界の未来を感じさせる。

 

日本人選手の聞いていて心地が良い大本営発表的活躍とは異なり、今の堂安律は本物だ。得点とアシストという明確な数字がその活躍を証明しているだけでなく、実際のプレーをみていても大きなスケール感のポテンシャルを感じさせる。

社会の暗いニュースが続く時代、疲れ切った心を癒す報道しか求めない日本の風潮に逆行するかのように意欲的に挑戦し続ける。

 

挑戦することが無意味だと諦めきった日本社会に風穴を開ける存在だ。

彼は未来は明るくなっていかないと受け入れてしまっている日本人の気質に真っ向から反する。日本が明るくなっていかないなら、自分は海外で明るい夢を追い求めればいいという発想の転換が彼にはできる。

サッカーという競争が厳しく、必ずしも日本人が活躍しやすいわけではない環境にあえて飛び込み自分を変えようとしている。

 

日本人が内向き志向になり、自国の良い部分だけを聞き、全員で安心し合う時代に堂安律は驚くほどに積極的であり海外志向だ。

この男、非常に果敢であり外国人的なメンタルをしている。

 

今の時代、日本人は内向き志向か海外志向かで極端に分かれている。

衰退する日本に妥協するか、ここを飛び出して夢を追い求めるか。

 

むしろ「外国人の方が自分に合わせろ」というぐらいの勢いで我を貫く姿勢は、謙虚さが美徳だと思っており、和を乱さないことを心がける今の後ろ向きな日本の若者と大きく異なる。日本に可能性がなくとも、海外には無限のフロンティアがあるという視野の転換ができる柔軟な思考力がある。

 

何かを積極的に起こしていき批判されることや失敗を恐れず、旋風を巻き起こし世の中を席巻することを夢見るタイプの人間が例外的に表れる。

それがかつては三浦知良や中田英寿であり、本田圭佑であり、そしてその系譜は堂安律や中島翔哉に受け継がれている。

 

サッカーに限らずTWICEの日本人メンバーなどを見てもわかるように、むしろ若者ほど海外に夢を見なければならないだろう。残念ながらこの国は若い世代の挑戦する国ではなく、完全に老衰しきったムードが漂い始めている。

今の時代「日本でそれなりに満足できるよね」という後ろ向きな思考はもはや時代遅れだ。その後ろ向きな馴れ合い的仲間意識に満足できるタイプの人間と、満足できないタイプの人間がいるのならば堂安は後者だろう。

 

「CLベスト4に進出するクラブに移籍する」と堂々と夢を掲げる姿は、ほどほどの日常的な幸せに皆で満足していればなんとなく安心感があるよねという最近の日本人の考え方の真逆を行く。

 

サイドプレイヤーという最も攻撃的に意欲的にリスクを恐れず仕掛けなければならないポジションで奮闘する堂安律は、この度その功績が認められフローニンゲンと完全契約を勝ち取る。

本田圭佑以降こういった海外志向の強い日本人選手が登場しないのではないかと思っていたが、むしろオランダで奮闘する堂安律、ポルトガルで挑戦し続ける中島翔哉と後継者が相次いでいる。

 

日常に妥協し、希望を持たないから不幸でもないというさとり世代だと批判されながらもむしろその風潮に逆らう若者はこうして確実に存在する。

停滞した空間の居心地の良さに安息の地を求める人々と異なり、彼らは海の向こうに大きな野望を求める。

 

ロシアワールドカップ後の新星日本代表があるとするならば、左サイドは中島翔哉、右サイドは堂安律という姿を思い浮かべることができる。

センターフォワードは南野拓実か小川航基のような威勢の良い選手をストライカーしたい。

 

元々日本人は農耕社会の中で何かの社会的抑圧を受け入れることを容認することが長年ごく普通の人生だったが、時折その圧力に対して反発する狩猟民族的な価値観を持つ個人が現れることがある。

 

空気を読み和を乱さず、小さな仲間意識を維持し安心感を満たすことだけに人生を捧げることに幸せを感じるタイプの人間ならば堂安律には魅力を感じないだろう。

社会に埋没した個人同士の楽ではあるが後ろ向きな共感よりも、上を向く個人同士の衝突を堂安は愛する。

国や社会という単位どころか、日常のコミュニティが全てだと考える現代の若い世代とはまるで真逆の存在がいる。

堂安律、今私が最も期待する男の名である。

web.gekisaka.jp

sportiva.shueisha.co.jp