負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

長友佑都「日本人は姿勢が悪くて表情が暗い人が多い」

長友佑都のツイッターへの投稿が少し炎上気味になっているという話がサッカー界で話題になっている。

長友佑都の謎の"イタリア目線"や意識高い系発言がうざがられているのは、もう数年前からの恒例行事でサッカー界のダルビッシュ有のような存在でもある。

その前も本田圭佑のツイートが炎上したりと、サッカー選手もTwitterの炎上戦線に徐々に参加しつつあるようだ。

 

自分は長友佑都のこういうキャラクターはよくわかっているので何とも思わないし、確かに事実な部分はあるのでそこまで批判しようとは思わない。

本当に長友佑都のことは尊敬しておりサッカー日本代表において史上最高のサイドバックだと考えている。セリエAにおいてこれほど長期的に活躍した選手は中田英寿以来である。

 

しかし「日本人の表情が暗くて何が悪い」とは言いたい。

今の日本人に明るい表情をしろといっても無理だろう、この国のどこに明るくなれる要素があるというのか。夢の無い国に生きている人間が明るくなれるはずがないのだ。

ビートたけしも「最近の日本人は下を向くようになっちゃって表情に元気がない」と言っていたが、もう疲弊しきった現代日本人に明るい表情をする力など残されていなくて当然である。

 

三丁目オールウェイズの夕日の時代でもあるまいし、何か漠然と素晴らしい未来が広がっているかのような時代ではないのだ。日本人としての自信となるようなものもない、現実を見ればかつて下に見ていた国に追い越されているのが日常だからだ。

まるでかつて「日本は神の国だから負けることは無い」と子供の頃に教えられていたら敗戦したように、「日本は世界一の先進国」だと教えられて育った世代は現実に直面している。

世界一の先進国で裕福な国なんじゃなかったのかよ、と今の若者世代は貧困の中で叫びたいだろう。

 

長友佑都

自分自身はサッカーが好きで日本代表も応援している、そして長友佑都の著書も持っていて個人的に好きな選手の一人ではあるが時々スポーツ選手の発言は「成功者目線」の発言に聞こえることがあるのも事実だ。

日本代表に上り詰めて、イタリアで優雅な生活をして女優の平愛梨と結婚していたらそりゃ表情も明るくなるだろう。

その一方で例えばブラック企業で酷使されて日々パワハラに晒されて、結婚適齢期も過ぎて誰にも相手にされない孤独な人間が明るい表情ができるわけがないのだ。

姿勢矯正パッドをそういった人が付けただけで表情が明るくなるのならば苦労はしない。

 

長友佑都の大学サッカーの補欠からセリエAのインテルにまで移籍したストーリーは本当に尊敬に値する、彼の努力は本物でありそこを否定するつもりは無い。

しかし努力が報われなかった人や夢を諦めざるをえなかった人も大勢いる時代に、運のいい限られた成功者目線で語ることは今の日本人には受け入れられないだろう。

 

確かに国民性が暗くなってきているのは事実だ、本来ならばそういった長友佑都のような成功者に前向きに憧れるような国のほうが幸せだろう。

日本人の国民性がどんどんと後ろ向きになり、炎上させて揚げ足を取る事しかストレス発散の方法が無くなってきていることは本当に悲しい。

主要国の若者で自己肯定感が最も低い国は日本だというデータも存在する。

しかし陰険な方向に向かっている日本人一人一人は日々の生活を懸命に生きており、何も悪いところは無い。

本当に悪いのは一人の個人がそういった陰険な性質の人間になってしまう社会そのものであり、夢の無い国にした人々だ。

生まれながらに陰険な人間はそれほど多くないはずだ、陰険な社会に育てられたから陰険な人間に育った、それだけのことなのだ。

 

長友よ余計なことは辞めておけ、今はワールドカップに集中する時だ。

大体日本人の表情を明るくしたければあなた方日本代表が次のワールドカップでいい成績を収めることが最大の方法なのではないか。

姿勢矯正パッドではないだろう、本当に世の中の人々が求めているのはワールドカップでの好成績だ。そのほうがよほどてっとり早く皆が明るくなる。ワールドカップでベスト8にでも進出すればその経済効果は計り知れない、日本代表として頑張ることがよほど確実な手段のはずだ。

 

それに明るい表情をしていないのは日本人だけではないだろう。

ACミランのサポーター、つまりミラニスタはもっと暗い表情をしているのではないか?

今回のツイートはイタリア語で「ミラニスタは表情が暗いね、きっと順位が低いからだろう。まぁ何位か調べる気にもならないがね」と煽る勇気があれば長友の発言は許されたはずだ。

長友のツイートを批判する人も「そういえば君はインテルに入団してからセリエAで優勝できていないはずだから、まずインテリスタの表情を明るくしたらどうかな」と皮肉めいた書き方をすれば面白くなるだろう。

しかしそういう皮肉の余裕もないほど世の中荒んでいるのだろう。

ユーモアも余裕もない人、そしてがちょっとした冗談すら許せない暗い表情の人も増えた。今回の長友佑都のツイート騒動を見て現代社会を象徴する炎上の一つだと感じた。一体日本社会はどういった方向に向かっていくのであろうか、ただひたすら誰かの批判のためだけには躍起になる社会が到来するように思えてならない。