負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

小林祐希は長谷部誠の後継者になり得ると思うんだが

今の新生日本代表の森保ジャパン、正直に言ってかなりスタートの出だしが良くて期待できる。

トンがってるというか、イキッってる若手が多くて期待が持てるので実に自分好みだ。攻撃的にチャンスがあれば隙あらばと攻めてガツガツ攻撃に行く。

荒削りではある物の、点を取られればそれ以上取り返せばいいというスタイルで、見ていてワクワクさせられる。

この勢いの芽を摘まず、戦術を洗練させていけば守備にも攻撃にも強いというチームで次回のカタールW杯に挑めるのではないか。

やはり若者はギラギラしていなきゃいけないというか、そういう華やかな世界を日本中に見せつけることで「次は俺も」となっていく構図に期待したい。

 

よく「ゆとり世代は大人しく野心が足りない」という偏見が存在するが、しっかりとギラギラ情熱に満ち溢れている若手は存在する。

現在の森保ジャパンは、ウルグアイに勝つまでは監督が地味だと言われていたが実は若手が派手で、カズや北沢が選手で監督が岡田武史だったころに近い印象を受ける。

 

そのラストピースとして個人的に期待しているのが、現在オランダのヘーレーンフェーンでプレーしている元ジュビロ磐田所属の小林祐希だ。

ハリルジャパン時代にも定期的に呼ばれてはいたものの、結局西野ジャパンには招集されずロシアワールドカップ行きを逃すこととなった。

 

しかしその落選を決してマイナスと捉えず、「むしろ次回のW杯まで1か月早くスタートできた」とポジティブに考え内心メラメラと2022年のカタールに向けて燃えている男だ。

 

f:id:elken:20181019212034j:plain

この男、とにかくインタビューが面白く独自の価値観を持っている。

時にはそれが「本田圭佑の後継者」「偽本田」と取りざたされることがあったものの、本人は「俺は誰も物真似でもなく小林祐希」と全否定する。

しかしながらプレースタイルは左利きの司令塔であり、オランダ1部リーグでプレー、派手なファッションや言動をするのでどうしても本田圭佑を彷彿とさせるものがあるし、自分自身、そこはかとなく香る本田要素に惹かれて興味を持った立場だ。

 

だがよくよくこの男について紐解いていけば、決して本田のコピーではないことが分かって来る、そして小林自身の個性に溢れた魅力を感じられるようになる。

 

例えば本田圭佑が「ボンラチようやらへんで」というタイプならば、小林は必要があればそれを受け入れプレーする。現にオランダリーグでのキャリアはボランチでのプレーであり、地味に欧州の海外組としての出場試合数は多い。

 

本人の希望は前線のアタッカーであり、理想はドイツ代表のメスト・エジルであると語る。いわゆるトップ下、攻撃的ミッドフィルダーとして決定的な一瞬のパスで試合を演出し自分も得点を決めるというスタイルを模索しており、見た目に拠らず天才肌であり芸術肌だ。

その一方で身長は182cmと日本人選手の中では大型であり、これは本田圭佑や長谷部誠と同格クラスである。

 

現在の日本代表に唯一欠けているとするならばまさにこの高さであり、柴崎岳と遠藤航のダブルボランチには足りない物だ。

仮に小林祐希がここから日本代表のスタメン、そしてカタールワールドカップ行きを目指すならばこのダブルボランチの一角が現実的な視野に入るのではないか。

ここから劇的に攻撃センスや得点力が上昇することは考えにくい上に、クラブでもプレーをしていない。

オランダのヘーレンフェーンと言ったところで名だたるビッグクラブではなく、もはや今の時代、海外組だからと言って問答無用で招集される時代ではない。

 

小林がここからステップアップするのであれば、オランダの強豪PSVやアヤックスをめざしそこで不動のスタメンとなることが現実案だろう。

もしそのオランダ上位クラブでCL出場権を獲得し、欧州の国際舞台で活躍すれば日本における彼への注目度も増すはずだ。

 

本田圭佑がオランダのVVVフェンロからCSKAモスクワに渡り、ACミランに辿り着いたキャリア自体は経歴として素晴らしいが内容自体は決していばらの道ではなかった。

むしろ無駄にした時間の方が多いという印象さえ受け、本田がオランダの強豪を目指していればという仮定が今でも語られる。

誰の人間にも言えることだが環境を変えることは並大抵のことではなく、サッカーのリーグにも国によって違いがある。

 

1992年生まれという欧州においては既に若手だとはされなくなっている年齢において、育成リーグのオランダから劇的なステップアップを遂げるには余程の活躍が無ければ厳しい。

ましてや数字を残しにくいポジションで、チーム戦術の縁の下の力持ちを担っている小林にとって、セールスポイントとなる派手な結果は得にくい物がある。

仮に今季の1年で劇的な結果を残せなければ、欧州を流浪しJリーグに帰ってくるという結果もあり得る。

 

小林祐希という男は一人のファンが干渉するまでもなくよく考えている男であるというのは承知の上で、彼が日本代表に復帰する可能性を考えてみたい。

それは端的に言えば長谷部誠の後継者になることだ。

ロシアワールドカップを最後に代表を引退した長谷部も、元々は攻撃的ミッドフィルダーから守備的ミッドフィルダーにポジションを変えて大成した選手だ。

チーム全体に気が利きバランスを取れることが代表だけでなくヨーロッパのクラブでも評価され今もドイツのブンデスリーガで活躍している。

小林もまたオランダでチームメイトの気配りを発揮し、「昔は自分を推しだして尖がっていたけど、今は周りに気を使えるようになった。オランダでは自分よりも更に若手が多い。」と語っている。

 

ある意味ゆとり世代がこれから若手ではなくなっていく構図と似ているし、海外にはもっと生意気でガツガツした後輩が存在するはずだ。野心的だったはずの自分が、牙の鋭さを失い更なる若手に迫られてくる、そのことをひしひしと感じながら焦っている心理も存在するだろう。

 

「最後の勝負ののシーズン」といえばネガティブに感じるが、「本田圭佑もこの年齢の時ロシアやイタリアで逆境に直面しくすぶっていた」と考えると希望も湧いてくる。

 

かつて小林祐希は「宇佐美貴史や柴崎岳が出ている試合は見たくない」と同じプラチナ世代としてライバル心をむき出しにしていた。

もしその柴崎とダブルボランチを組めば日本代表としては頼もしい。

ボランチというポジションに限らず、前線にパスを送る役割として右利きと左利きの選手が混在していたほうが、当然ながら左右のバランスも獲れて攻撃が偏らない。

今の日本代表は右利きの中島翔哉と左利きの堂安律という理想的な両翼に支えられている。

この活き活きとした両翼を思う存分に活躍させるためにも小林のバランス能力は必要とされるかもしれない。

実際にプレースタイルを見たときもワンタッチでパスをさばく能力が非常に高く、前線に送る意識が高い。

 

本人は攻撃的なトップ下を理想に掲げているが、サッカーの世界において詳細なポジションを分類することは困難になってきている。

名前が同じでもクラブのチーム戦術によって役割は異なってくるし、シーズンによっても違ってくる。

クラブが違えば数メートルプレーエリアが違うだけで役割に劇的な変化が現れるものの、ポジションの名称は同じであることも多い。

 

sportiva.shueisha.co.jp

長谷部誠だけでなく、プレーエリアをやや守備方面に下げながらも攻撃的な役割を発揮し続けたという意味ではモドリッチやクロースはその典型例だ。

またピルロやブスケツは後方からゲームメイクを行い、チームに数々のタイトルをもたらした。

いいミッドフィルダーというのは一試合で派手な活躍をする選手ではなく、気づけばチームに数々のタイトルや実績をもたらしているような選手だ。

せっかく恵まれたフィジカルがあるのであれば全盛期の本田圭佑、もしくはポグバを目指すような体格作りをしたっていいかもしれない。

ポール・ポグバは全世界で見ても化け物のようなモンスター級の選手だが、何もこれからポグバの領域を目指す必要はない。

あくまで日本人選手の中でポグバのような立ち位置になれば、小林祐希の代表での地位とワールドカップ行きの切符は現実味のある物となる。

 

本田圭佑の世間の注目を誘う派手な言動とファッション、そして左利き要素に加え、第二の長谷部誠になれるポテンシャルも兼ね備えている。

カタールワールドカップまでのこの4年間、小林祐希は本田圭佑のように目標に向けて逆算しながら虎視眈々と夢を狙っているはずだ。