負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

サッカー日本代表本田圭佑「平和のために何もできない自分が虚しい」

本田圭佑、サッカー日本代表であり事業家であり、教育者であり、ファッションアイコンでありその肩書きは一つに限定することができない。

つまるところ彼は「本田圭佑」なのだ。

本業のアスリートとしてのサッカー選手が彼の全てではなく、その情熱や関心は多岐にわたる。

 

ワールドカップを目前に控え、鮮烈なゴールで猛烈にアピールしている本田だが、彼の今の興味の対象はサッカーばかりではない。

 

今本田がもっとも関心がある問題と言えば、現在アメリカがシリアへの攻撃を決定したことであり「日本で報道が少なすぎる」と自身のSNSで発言し、これが大手ネットニュースでも話題になるなど注目度は高い。

正直なところサッカーファンの間では「本田は一体何を探しているんだ」と冷ややかな目線が多く、"迷走"しているような扱いをされることがある。

 

最近では資本主義の現実に目覚め、ロストチャイルド家の謎に迫ろうとしていたり、アメリカの銃規制問題について積極的に発言したり、そして今回のようにシリア問題について触れたりとツイッターを開始してからは大忙しだ。

 

その内、今回のワールドカップを最後に代表とサッカー選手を引退し、かつての中田英寿のように「世界を見て回る旅」にでも出るのではないかとさえ予感させる。

もう本田さん、かつて南米を放浪していたチェ・ゲバラにでもなってしまうのかなという雰囲気さえあり、資本主義と戦うことに生涯を捧げようとしているのかもしれない。

その一方で総理大臣の安倍晋三ともツーショットを撮っていたり、同じく与党の麻生太郎とも会談を行い気に入られており、将来的に自民党から出馬する気満々なところも流石の「伸びしろ」である。

 

はっきり言えばこの人はリアル中二病であって、だからこそ自分は惹かれている部分もある。2010年の南アフリカワールドカップでの活躍以降、もうずっと本田圭佑を追い続けている自分としては、「やっぱり本田は見ていて楽しい」と感じる。

何をするかわからないところ、何を言うかわからないところ、全てが予想外でその発想の大きさが今の小さな日常に適応しきった日本人と大きく異なる。

今時ここまでスケール感が大きく、何かしら考えている人というのは珍しい。

今の時代、真剣に語る人間というのは、空気が読めない暑苦しい人間と思われたり、和を乱す絡みにくい人間だと思われる傾向にある。

本気になることがかっこ悪く、その姿を冷笑する冷めた人が多い時代に本田は真逆を行っている。

 

実は誰もが現実に適応しなければならないから冷めていながらも、どこかでやはり夢や熱さを追い求めているのだろう。

ツイッターを始めたときもやっと始めてくれたかという感覚で、現役選手だからこそ影響力がある事を自覚して発言をしている本田は確実に世界を変えている。

このシリア問題に関しても第一報を聞いたのは本田がきっかけであり、最近のネットでの情報収集を主体とする世代にとってはいわゆる「インフルエンサー」であるとも言える。

 

自分はここ最近「最近の日本人は情熱が無く、世界を変えようとする気力が無い」と世の中に対して冷めていたが、まだアツい情熱的な男はいる。

漠然と世の中に面白い革命家がいるのではないかと夢を見つつも、そんな濃い人はいないという寂しさの中で、まさにそれは灯台下暗しだった。

何年も追い続けてきた本田こそ、自分がやはり魅力を感じる人物だと今になって気付いた。

決して何かに逆らっているだけの昂揚感を味わいたいだけの「革命家ごっこ」で終わらず、実際に世界を変える影響力を持ち現実的に活動をしているのは本田圭佑だ。

そして何より若いことが本田の特徴であり、かつての学生運動を懐古してデモをして楽しむような、そんな浅いタイプではなく確実なビジョンがある。

 

若いころの学生運動や市民運動の情熱が忘れられないだけの、時代遅れのダサい暑苦しい人々と異なり、本田圭佑は若者受けするカリスマ性がある。

確かに一部「意識高い系」という批判も存在するが、やはり若者からの支持率は高いし、現実に影響力があり、行動力もある。

そして世界的な人脈もある。

 

本田圭佑が「世界一のサッカー選手」になり、メッシやロナウドと競合しバロンドールを勝ち取るという夢は本人も既に終わったと公言しているが、同時に「引退してからのほうがビッグになる」と未だにその情熱は衰えない。

 

自分は本田圭佑の引退後サッカー熱が下がるのではないかと危惧していた。

それはかつて村上龍が「中田英寿が引退してからサッカーを見なくなった」と語っていた様な現象と同じで、自分にとってサッカー熱=本田圭佑熱だったのだと気付くようになるのではないかと。

 

しかし本田はむしろ引退後のほうが期待ができる。

中田英寿の事業が今も注目を集めているように、本田も同様にサッカーの現役から離れた後の方が可能性を感じさせる。

「スポーツ選手は同業者としか会って話さないので交友関係が限られている」と言っていたが、本田はスポーツ選手だから会える人との交流を今から逆算して行っている。

全面的に自分は本田圭佑の考え方を支持しているわけではないが、とにかくこの男、熱い。

現実に冷めきった人が急増する時代に、本田は今時珍しいほどに熱く何かやってくれそうな存在だ。