個人創作サイトの文化は失われたのか
最近昔のネットばかり美化しているが、アングラ感ある個人創作サイトは減ったように思う。昔は個人がイラストなり小説なりをそれほど上手くないながらもブログなどで自己満足にも近いような活動をしていることが多かったがそういうサイトはあまり見かけなくなってきているよう思う。
その変わりピクシブのようなイラストサイトが発達し、一定数イラストを求めている人が見ている場所でイラストを投稿するということが主流になっている。実際個人ブログやサイトを何もないところから作り上げて多くの人に見てもらえるようにするのは時間がかかるのが実態だ。現在そういった個人創作を見たければピクシブでマイナーな物を探すことが主要な手段になる。
どうしてもピクシブはメジャーな物が人気でピクシブ的な人気の出やすい物を描くことが閲覧数やブックマーク、コメントを手っ取り早く得る手段になっているが中にはマニアックな個人創作をしている人も存在するので面白い場所である。
ちなみに自分はこういった厨二病的な手作り感ある絵凄く好きでアナログ絵も結構好きだったりする。自分の創作ノートに書くようなイラストの方が味わいがあって面白いし、公式の版権絵を上手く書いたようなものよりも手作り感があって自分で考えたような創作の方が見たいと思っている。
ネットがなんでもガチになってきてる昨今だからこそ、昔ながらというか個人がアングラで細々と好きなもの書いてる雰囲気には魅力がある。
ネットの個人創作コンテンツはどうしても人から見られるために版権物、流行ものばかり求めがちだが中にはこうやって本当に好きなものを描いてる人もいる。授業中にノートに妄想的な落書きをしたワクワク感、それにも似たものがあるのではないだろうか。
例えばこういったオリジナル武器系列は見ていて凄くワクワクするし、もっとこういう個人創作が増えても良いのではないかと自分は思う。
どうしてもピクシブのようなランキング形式サイトは構造上ランキングが正義だからとにかく版権物、流行ってる物、需要のあるものになりがちで中々日の目が当たらない者もある。
もはやピクシブですら実際は個人創作の場所ではなく「公式の補完」がユーザーの目的になっている。人気ジャンルを補うようなものが需要高く、投稿者も「個人創作を描いている暇があったら人気ジャンルを描く」という時代になっているのが現実だ。きれいごとだけでは絵は描けないのだ。個人創作やオリジナル物はよほど実力のある本当に高いクオリティの物しか人気が出ない。
こういった版権物ではない本当の個人のオリジナルものは中々人の目につきにくいのが現実だ。そんな今だからこそ、こういう個人の創作の素晴らしさってのを広めていきたいなと思う。
ネットにプロが参戦しプロ予備軍や専門学校で専門教育を受けた人たちが当たり前に投稿しているのが現代に「ネットがあるから投稿してみました」というような素人のイラストは見向きもされないのが現実だ。
そもそもインターネットはイラストに限らず当たり前に高いプロレベルものがあふれている。
しかしネット上のコンテンツがガチ勢の物ばかりになってきた今だからこそ、個人の手作り感みたいな文化を再度見つめ直すべきなのかもしれない。
ネットの良さは誰でも投稿できることであって友達感覚で絵を見る楽しさもある。それが何もかもプロレベルや専門教育を受けた人のものばかりになってしまうとつまらないのではないかとも思う。
友達がノートに書いた痛い落書きを見せてもらうときのワクワク感のようなものが自分は凄く大事なことだと思う。ネットに凄いものがあふれて皆の目が肥えてきてる、今更個人のしょぼいものなんて評価されない時代。
どんどんと個人創作が埋もれていく、育たない。
自分はそれが凄くさびしいことだと思う。
これは最近自分が描いた絵でありオリジナルガンダムの武器という設定になっている。オリジナルキャラを考えて更にそのオリジナルキャラの武器を考える、というようなことはこういった武器の絵をかく人なら考えたことがあるのではないだろうか。
自分が一番思ってるのは、こういう自分のようなしょぼい絵を見て「こんなんでも投稿していいんだな」って思ってほしいという事である。
練習だと思ってこういう授業中の落書きとか、その発展のようなものを投稿するという文化があってもいい。アナログでもいいし、イラストソフトの基本機能しか知らないような絵でもいい。
「凄いものを書かないといけないのかな」と思い過ぎずに、思い切って投稿する人が増えてほしいし、自分だって適当な絵をこれまで投稿してきた。プロレベルのコンテンツがあふれている現代だからこそこういう物をどんどんやっていく人が増えてまた新しい文化が築かれるべきなのではないだろうか。
自分が最大の恥ずかしい痛い例でありそれでも細々とやり続けてきた。
そういうの見て「こんなレベルでもいいんだ」「しょぼいけどやってみるか」「これくらいならできそうだな」と思う人が増えて投稿する人が増えて、それを見る人も増えてネットの手作り感ある個人創作文化が盛り上がる日をまた見たい。
ネットのワクワク感が薄れてきた今だからこそ、こういう個人創作でそのワクワク感を盛り上げていきたいなと自分は思う。
プロレベルのものや凄い物が決して全てではない。
しょぼくてもいいから手作り感あるコンテンツを投稿しても良いのではないだろうか。元々こういったイラストサイトはそういう発表の場であり、プロレベルの人の商業の場ではなかった。むしろ主人公は名も無き投稿者である。
こういう投稿サイトの宿命だが最終的にはプロレベルの人しか見向きもされなくなり、皆プロしか見なくなりプロしか投稿してはいけないような雰囲気になるし需要がなくなる。その結果最終的に個人創作の文化は衰退し消滅する。
ニコニコ動画もその結果衰退し、youtubeも初期のユーチューバー文化から今は企業や芸能人、テレビ局が参入するようになっている。レベルの高い物やプロレベルのもの、知名度のある物しか持てはやされなくなった結果がそういったつまらない時代の到来だ。
個人創作を支えるのは無名の個人である。
見る方も投稿する方も本来は無名の人間であったほうがおもしろい。
無名の場所から新しい文化は生まれるのではないだろうか。