負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

ガンダムというジャンルはなぜ衰退したのか

ガンダムが衰退したとか人気がなくなったということが言われ始めてから久しい。世間的にガンダムが最後に大ヒットしたのはガンダムSEEDで、オタク界で盛り上がったのはガンダム00が最後、UCが既存層向けにヒットして新規層もそれなりに増えたというのが自分の認識である。

それ以外の有象無象の新作については語るべくもなく、この駄作の連発でだいぶガンダムブランドも価値を失って今に至る。

 

ただガンダムというのは常にヒットを飛ばしているコンテンツではなく、幾度となく人気低迷や暗黒期を経験しており実は21世紀になる前の段階でも今と似たような時期はあった。

実際SEED前も暗黒期で社会現象や、ガンダムに興味がない人でも認識しているレベルにまでヒットしたのは実は宇宙世紀とコズミックイラしかないのである。

更に言えばガンダムブランドはグッズの売り上げで言えば今もなおメガコンテンツであり、ロボット離れが進む現在でこれだけアニメやプラモデルの新作を出し続けているのだから「既存層ビジネス」としては成功している部類ではある。

 

しかしその成功や安定は典型的な「好きな人だけ好きなコンテンツ」という状態になっており、既存層の内需だけで経済や情報が回っているという状況に近い。日本経済と同じでその内需だけでも十分なのだが、やはり全盛期のブランドイメージと比べたときはどうしても衰退していると言わざるを得ない。

日本経済も全盛期があまりにも凄すぎたため衰退していると言われるが実はまだGDP世界3位なのである。しかしその日本も今後衰退しいずれは追い抜かれるのと同じで、ガンダムもこのままでは追い抜かれる時期がやってくる。いつまでもその地位が安泰とは限らない。

 

近年の新作ガンダムはもはやその駄作っぷりがネタにされるばかりで、本当に熱狂して盛り上がっているとは言えない。ネットのオタク文化自体、何かに盛り上がるより、駄作を笑う文化にシフトしている傾向にあるがガンダムが駄作争いをしているのは少し悲しい物がある。SEED DESTINYのときも駄作としてけなされていたのだろうが、それでもこのシリーズはかっこいいというイメージはあり信者はいた。

最近の新作はもう笑いものにしている人しかおらず、ガンダムはこれでいいのかなと思わずにはいられない。

 

子供人気に関してももう今の子供はロボットどころか、それ以前に戦争物にも興味がなくなっておりメカや機械に憧れなくなっている。にわかアニメファンも生活の疲れをいやすために日常アニメに走っており、やはりガンダムは残された精鋭の中で内需を回しているという状態にある。かつてほどにわかや初心者が入り乱れるという状況にはなっておらず「オタクならガンダムぐらいみてようぜ」というイメージは無くなっている。

アニメオタク業界自体が拡大し、多様化したことでその中の一つの勢力でしかなくなった。昔はガンダム=オタク、オタク=ガンダムという程のイメージがあったがもう今の時代ガンダムは一切見なくてもオタクと名乗れるのである。

 

今の時代ロボットアニメ、戦争アニメを一切見たことがないアニメファンなどいくらでもいるだろう。今は声優を重視したアニメで同性キャラがいちゃいちゃするだけの異性が出てこないアニメを見て癒しを求めるだけであり、誰も深いことを考えようともしない。

 

結局のところこの衰退の連鎖の始まりはガンダム00からガンダムAGEまでの時間が空きすぎたことにあるだろう。

それは世間がガンダムを忘れるには十分な時間であり、そこから歯車が狂い始めた。そのご後続作品がことごとくしょうもないものばかりでガンダムの地位は陥落した。

もはや若者が興味を示さないコンテンツになっており、今の新規層自体が「難しい物を理解したい」「オタクの世界ならではの深い物を見たい」とも思っていない。昔はオタク文化を求める層は何か深い物を求めていたりマニアックな世界に入ろうとしていたが、今はオタク文化なのにそこにカジュアルなものを求めにやってきている。逆に言えばどの時代にもいるカジュアルなものを求める層をアニメ業界に取り込むことができたともいえるかもしれない。ただそれがオタク文化にとって本当によかったかどうかというのが今しきりにサブカル識者の間で議論されていることである。

 

ガンダムに関して持論を言わせてもらえば子供向けよりも厨二病の中高生向けに特化するべきだと考えている。しかし、今の中高生もはやロボットに興味を示さないだろう。少し前までの中高生はコードギアスガンダム00、そしてマクロスFを見ていたようにまだあの頃の中高生はロボットをかっこいいと思う文化はあった。

ただそれが最後でそこからロボットアニメを取り巻く流れは衰退の一途をたどり始める。その時代の流行アニメとしてロボットアニメが覇権を取れなくなったのがここ数年の流れだ。

その状況の中で富野由悠季が大言を吐いて未来の世代を育てると宣言し、Gのレコンギスタを作ったのだがこれも供にまるで響かなかった。

あの姿を見て富野由悠季の才能が枯れたことを悟ったガノタは多いのではないだろうか。

「時代を作るのは老人ではない」という言葉をまさに富野由悠季本人が示すこと成るのだから時代は皮肉な物である。老人の言葉はまるで響かない、若者には若者の言葉が響く。富野の衰えと共にガンダムも衰え始めている。

昔はコアながらも「オタクならガンダム」というぐらいのブランド力はあった。今はオタクですら興味ない。そもそもオタクがファッションオタク化したのだ。

しかしそのファッションオタクに安易に媚びたBFTは萌えオタにも響かず既存層からも叩かれ史上最悪の駄作の一つにまでなった。

 

今一番の解決策はやはりガンダムらしいガンダムを作ることだろう。ガンダムファンには十分な既存層がおり、その既存層が盛り上がれば一度ガンダムに飽きた層もまた戻ってくる。「人気なガンダム」が好きという層もいて、馬鹿にされて笑われてるガンダムを見たくないという人も多い。少し言い過ぎかもしれないが「高尚な物」としてガンダムにブランド価値を感じている人もいる。やはりそれくらい重厚に既存層向けに作ったほうが、一定数いる考察がしたいオタクも集まるように思うし、ガンダムが他のアニメと差別化できる部分はそこなのである。政治や軍事、社会問題をガチガチに語るぐらいの描写があってもいいのだ。

そのガンダムらしいガンダムの中で新しいことをやればいいわけであって、最初からガンダムらしくないガンダム逆張りのように狙ってもいい作品にはならないのだ。

もし次に新しいガンダムが作られるならば既存層向けにガンダムらしいガンダムを作り、その中で何か先進的な新しい事や実験的な事、もしくは過激なこともやってほしいと思う。そしてその土台に必要なのはやはりガンダムらしさや既存層が楽しめるいつもの要素や雰囲気なのである。

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