負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

カザフスタンがキリル文字からアルファベットに移行するらしい

中央アジアの大国カザフスタン、豊富な資源を有し2017年の万博開催国でもある。

カザフスタンの特徴として旧ソ連の構成国であり、言語としてはロシア語、カザフ語を使用する。実質的なロシア語圏であり、当然ながら文字はキリル文字を主体とする。

実はカザフスタンや中央アジアの国というのもロシア語が通用する地域として学習者の間では重視されている。

民族的にも日本人と近い人が多く、カザフスタンへの旅行番組などを見たとき「見た目は私たちに近い」という紹介をされることが多い。

 

有名人と言えば「美しすぎるバレー選手」としてサビーナ・アルシンベコバ選手が日本では知られており、ナザルバエフという大統領が非常に長い期間そのポジションを歴任している。

 

そんなカザフスタンは個人的にもいつか行ってみたい国の一つであり、昔からそのエキゾチック感に惹かれていた。元旧ソ連の中央アジアの国はどんな場所なのかということは自分の興味の一つである。

そしてそのエキゾチック感の魅力としてキリル文字を使っておりロシア語が通用するということが重要でもあった。似たような国で言えばモンゴルもキリル文字を使用しており、ソ連の影響力が強かった国は今もキリル文字を採用していることが多い。

 

そういったロシア語圏として有名なカザフスタンがこのたび、段階的なアルファベット移行を宣言した。2025年までに完全に移行する予定らしく、今後はキリル文字と併用しつつ最終的にはカザフ語のアルファベット表記を目指しているようだ。

 

このモデルケースとなっているのがトルコで、トルコはかつてアラビア文字を使っていたがケマル・アタテュルクの近代化政策によりアルファベットに移行した。

その結果現在トルコは急激な経済成長を遂げており新興国の一つとして数えられている。欧州への移民も多く、アルファベットを使い慣れているという事のメリットは大きい。

またカザフスタンは元々ローマ字表記だった時期があり、キリル文字もスターリンの政策により強要されたという側面がある。

カザフスタン

個人的にはキリル文字を使っているところがカザフスタンの魅力だとも思っていただけに、今回のローマ字移行は少し残念な部分もあるというのが本音になる。

しかしカザフスタンが今後真に中央アジアの大国として台頭していこうと考えた場合、より国際的なローマ字のほうが今後あらゆる面でメリットをもたらすことになるだろう。

自分としてはカザフスタンを応援している立場なので、カザフスタンが発展を遂げるのであればそれが一番だとも思っている。

実際旅行に行った場合も、現実的にはなじみのあるアルファベットの方が読みやすく観光誘致という観点で見た場合には有益だと言える。マイナーな旅行先からメジャーな旅行先へと進歩していくことを目指すならばやはりアルファベットの方が良い。

 

現に今回のアスタナ万博も世界に対する「新興国カザフスタン」の広報であり、第二のトルコのように発展を遂げようとしている。アスタナやアルマトイという都市を国際基準で開発していこうと考えているならばアルファベットを主体にすることは大きな長所になる。

 

その一方でカザフスタンの言語を考えたとき、現状ロシア語が最も優勢な地域で果たしてアルファベットに移行することが良いのか、そしてロシアとの関係を悪化させることはどういった影響をもたらすのかという疑問はある。

 

カザフスタンの民族言語でもあるカザフ語はそれほど話されておらず、実際にはほとんどロシア語で通用する国においてその利点を活用したほうが良いのではないかと思わなくもない。独立後カザフ語の教育に力を入れているらしいが、経済的な面で見た場合隣国のロシアとの関係を強化しロシア語圏に属したほうが実利的なメリットはあるように思える。

カザフスタン国民の間で最も通用するロシア語からアルファベット表記のカザフ語に移行することはそう簡単に実現できることではないだろう。

ロシア語をわざわざアルファベットで表記したところで、かえってロシア語との統一性を失ってしまうのではないか。

 

似たようなところで言えばセルビア語とクロアチア語というのは実質的には同じ言語に近いが政治的な問題で前者はキリル文字、後者はアルファベットで表記されている。

カザフスタンからロシア語が失われるわけではないだろう。旧ソ連時代の文化的な影響は未だに根強く、世代間の断絶を生むのではないか。

ロシア語はキリル文字表記として続けていくのか、それともロシア語もアルファベット表記にするのか、この問題はしばらく様子を見なければ現実的にどうなるかはわからず、また日常で実質的にどう対応していくかもわからない。

例えば日本人の生活の中で漢字だけは中国語の表記と統一していくとなれば大きな混乱をもたらすだろう。日本でも何度かローマ字表記を目指す運動があったが結局は実現しなかった。

 

しかしこういった様々な問題を乗り越えてでもカザフスタンは新しく前を見て発展を遂げようとしている。次世代の大国に躍り出ようとするカザフスタンの動向に注目せずにはいられない。