負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

「北方領土を返せ」というだけでは領土は返還されない

日本人が嫌いな国ランキング常連の国と言えば幕末や明治の時代からロシアと決まっている。恐露症と言われていたこともあり、また現在でも領土問題を抱えているため日ロ関係は良好とは言えない。

そもそもロシアという国は帝国主義の権化のような国でありロシアの近隣諸国であの国を好きだというところのほうが珍しいほど嫌われている。ロシアの近隣諸国ならばたいてい彼らの帝国主義政策の影響を受けているという歴史的背景が要因だ。

当然ながら日本も例外ではなく実際に戦争をしたこともあり、領土問題も抱えている。

大事に世界大戦末期における火事場の泥棒のような手法で北方領土を略奪し、帰属が決まっていない南樺太も堂々と占領中である。

 

しかしや闇雲に「領土返せ」とばかりいって、悪口ばかり言っていても関係は改善しないもので、21世紀の今もなお先行きは全く見えてこない現実がある。ロシア人は領土という物に特別な思い入れがあり特に国防の要ともなる地域に対しては国際的な非難をも厭わない覚悟すらある。クリミア併合などはその典型的な事例だろう。

 

この問題において真に日本人がするべきことはロシアについてもっと知ることなのではないだろうか。

交渉をするならば相手のことを良く知った上で賢く交渉しなければならない

しかし日本人はあまりにもロシアについて知らな過ぎるのが実態だ。日本の隣国であり日本に最も近い欧州の国(ロシアがヨーロッパかどうかという議論はあるが)、白人主体の国家である。ロシアの東方は秘境ではなくウラジオストクのような発展した都市も存在する。

 

例えば2018年にロシアワールドカップが開催されることをどれだけの人が知っているだろうか。これだけの国際イベントですら日本では話題にされず報道されない現実がある。ロシアへの関心はまさにシベリアのように冷めている。

使っている文字はキリル文字、首都はモスクワ、建国はソ連崩壊後の1991年、この基本をすべて知っている日本人が実際の所どれほどいるだろうか。現状ロシアは日本人にとって近くて遠いマニアックな国になっていてロシア語などもあまり学ばれていない。

 

領土問題を話している人ですら、ロシアについてはほとんど知らずただ北方領土を返せと主張しているのが実態だ。相手と交渉するならば相手を知らなければならない。交渉下手だと言われる日本人だが一方的に要求して避難し続けるだけでは相手も強情になることを知らなければならないだろう。残念ながら現状ほとんどの人がロシアを知らずに悪い国とだけ思っている。ロシアに対する嫌悪感は日本人の本能なのかもしれない。

 

しかしながらそのような状態でもロシアは日本人に隠れた人気を誇り、あの独特な雰囲気や文化を求めるロシアマニアは多い。

ではロシアを知る切っ掛けはどれほどあるだろうか。自分自身政治的対立は抜きにしてロシアが好きな一人だ。

 

1:芸術

ロシアといえば芸術面は非常に優れており、寒冷地の独特な気候が時に天才を生み出す。文学のドストエフスキー、音楽のチャイコフスキー、映画作品の戦艦ポチョムキンなどは非常に有名である。

またロシア語自体も難解ではあるものの繊細で美しい言語だ。どこか哀愁を感じさせるロシアの風景もまた魅力であり美しいところも多い国だ。帝政ロシア時代の美しい宮廷文化も芸術に影響を与えている。芸術方面からこの国に興味を持つ人は多い。

またロシアの建物や雑貨などは独特な美しさや可愛さがあり、この方面から興味を持つ女性も実は多い。

 

2:ウィンタースポーツ

ロシアといえばウィンタースポーツの強豪国であり特にフィギュアスケート選手は日本のフィギュアスケートファンにとってもなじみ深いだろう。少し前はプルシェンコ、最近ではリプニツカヤ、メドベデワのような選手は有名だ。

こちらも興味を持つ人は女性が多いだろう。

 

3:政治や軍事

正直日本人がロシアに持つ関心で最も多いのが政治や軍事なのではないだろうか。この分野においてロシアは本当に影響力の大きい国だ。

自分もまさにこの分野からロシアに興味を持った立場であり政治理論や宇宙科学を学ぶためにロシア語を勉強して留学するというのが社会主義陣営ではメジャーだったのだ。西側の人々にとってアメリカやイギリスが憧れの留学先だったようにロシアが社会主義の総本山として多くの東側エリートにとっては憧れだった時代があった。

ロシア語が英語のような立場にあり、モスクワ大学ケンブリッジ大学のような価値があったのが冷戦時代である。

 

第二次世界大戦におけるソ連と言えばまさに日本との日ソ不可侵条約を破棄し火事場の泥棒として攻めてきた国だが、歴史というのはこういった狡猾な国が生き残る世界なのでもある。むしろ独ソ不可侵条約の際ソ連はドイツをそこまで疑わず戦争準備をほとんどしていなかった。その経験があり彼らは次は不可侵条約を破棄する立場になったのである。

 

しかし第二次世界大戦におけるソ連軍の奮闘ぶりは彼らの視点から見ればまさに大祖国を守る英雄的な戦いであった。自国からの視点だけで物事を見ていると国際情勢の認識を誤ることになる。あくまで彼らの視点に立つならばソ連軍はかっこよく、冷戦後もアメリカと超大国として渡り合ったことは彼らの歴史における誇りある時期だったともいえる。

軍事ファンとしては彼らがAK、カラシニコフシリーズを作ったことだけでも尊敬に値すると思っているしロシア軍やソ連軍の「悪役感」にも惹かれたりする。決していい国としてソ連を崇拝しているわけではないが、こういった悪役的な不気味な魅力に惹かれる人はロシアやソ連が好きなのではないだろうか。主にこのきっかけは男性に多いだろう。

 

4:ロシアの風土

個人的に軍事や政治だけでなく、ロシアのリアルな風土や景色も好きで独特な哀愁を感じさせられる。ロシアの冬景色や哀愁漂う風景はどこか西洋ともアジアとも違う情景があり、ソ連時代の映像などを見ると華やかではないものの独特な温かみを感じることがある。寂しげな景色と暖かな文化の両方が混在しており、過酷な歴史を生き抜く中でも彼らには生活があったのだろうという事が伝わってくる。

スラブの文化や景色、西側とは違う雰囲気には日本人がまだ知らない深い魅力がある。

 

何かロシアにちょっとした魅力を感じたことがあるならば、この国について深く知ることは決して損ではない。マニアックな楽しみがあり、ロシアは見ていて面白い国だ。

個人的な好きという感情と、政治思想は必ずしも同調しないが今必要なのは親露派、いや知露派だろう。ロシアに詳しい人が少しでも増えたとき、日ロ関係は良い方向に向かうかもしれない。

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