負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

バーチャルユーチューバーって今後流行ると思う?

バーチャルユーチューバー論や考察は結構盛んらしく自分もその存在を知ってから、その可能性や未来について考え始めている。

この盛り上がりというのは黎明期特有の一時的なブームに過ぎず、単なる目新しさに過ぎないのか今後バーチャルユーチューバーというのが当たり前の存在になっていくのか、それはまだ未知数なところがある。

 

日常アニメの時代がはじまり、けものフレンズに行き着き、更にその日常系の極致がまさにバーチャルYoutuberなのではないかと自分は見ている。

つまりユーザーの多くが難しいアニメや壮大な世界観よりも、日常のささやかな癒しや手軽に視聴できる利便性を優先してきた結果が現在のバーチャルユーチューバーなのではないかという考え方だ。

もう今のアニメファンはアニメの世界ですら壮大な夢を見ることを望まなくなっている。

 

自分自身が既に毎週同じアニメを楽しみにするという習慣は過去のものとなっており、一つのアニメ作品を全話見たという経験は数年前にまで遡らなければならない。

端的に言えばアニメを見ることがもはや面倒なものになっている。

自分自身がかつての情熱を失い現代社会に疲れているということは大前提として、昔に比べて面白いアニメも減り視聴も難しくなったという背景が存在する。

インターネットも一昔前のように「ネット民は全員教養としてアニメを見ていなければならない」という風潮も無くなり、インターネット上の流行についていくためにアニメを見る必要も無くなった。

 

「けものフレンズ」の時は若干その雰囲気はあったが、全盛期ハルヒやけいおん!の時代に比べればだいぶネットもオタク的な人以外の層も増えてネットの中でも趣味や娯楽が多様化した。

今以上に一昔前のネットはオタク文化一色だった時代があるが、今は世間がオタク化したように逆にネットも一般化している時代になっている。

 

そんな中でわざわざ苦労していわゆる萌え系の深夜アニメをもう見る時代でもない中で、かろうじて日常アニメやソシャゲがその変わりになってきたという時期が続いていた。

そしてもはやそういったアニメやゲームの時代ではなくなり、二次元のキャラクターが好きな層も今後ユーチューバーに移行していく時代が遂に訪れようとしている。

 

「一般人」と表現すれば語弊があるかもしれないが、いわゆる一般人が芸能人よりもごく普通の存在に見えて親近感を感じさせるユーチューバーを見る事に移行していったように、今後オタク層もアニメやゲームといった"権威あるコンテンツ"のキャラクターから、「バーチャルユーチューバー」といったカジュアルなコンテンツに移行するのではないか。

 

既に数年前に「今のアニメ視聴者は30分見ることに耐えられない」というようなことが指摘されており、より短いアニメが模索されていた。しかし決まった時間に視聴することや録画が必要なアニメという媒体自体がもはやオワコンになり、気軽にいつでも順を追わずに好きな物から見れるバーチャルyoutuberが今それらを駆逐しようとしつつある。

 

スマートフォンが登場したことによってデジタルカメラ、ノートパソコン、腕時計、携帯音楽プレイヤーなど諸々の機器が物の見事にオワコン化しそれらの市場規模は大きな打撃を受けた。

自分はバーチャルユーチューバーは「キャラクター界のスマホ」なのではないかと考えている。

つまりバーチャルユーチューバーさえ見ればキャラクター目的で漫画やアニメを見る必要もなければゲームをする必要もない。既にソーシャルゲームに本格的にキャラクター産業が進出したことによって、いわゆるギャルゲーのような恋愛ゲームは完全に衰退した。

元々割られたら終わりだったギャルゲーよりもユーザーが積極的に課金してくれるソシャゲのほうがキャラクター産業としては優良な分野だった。

今や自分の「嫁キャラクター」を求めている人の多くはソシャゲをしており、どのジャンルのキャラクターを重視するかというのは時代によって変化しつつある。

 

バーチャルユーチューバーはソシャゲのキャラクターに比べれば所有欲は薄れるが、課金の必要も無く視聴者に直接話しかけてきてくれるので誰かと共有しているという親近感はある。

更に現在もスマートフォンを所有していない層や、所有していたとしてもゲームまではする気になれない層というのは一定数存在しパソコンでも見れるyoutubeという媒体は強い。

 

結局のところアニメのストーリーや世界観を真面目に見ようとする視聴者は少数派で、実際はほとんどのファンがキャラクター目的で見ている現実がある。

そのキャラクターだけに初めから特化しているバーチャルユーチューバーが今後新たなトレンドになっていく可能性は高い。

もうわざわざ難しいストーリーを考えて、様々なキャラクターを揃えて毎回背景まで手書きで書いて作ったアニメというのは今後面倒な物でしかなくなるのではないか。

大部分のオタク層は実はもともとアニメを真剣に見ておらず、ただ嫁キャラクターが欲しいだけでありその部分に最初から特化できているAIのユーチューバーというのは即自的だが効率的でもある。

 

消費者側も製作者側も効率を重視した結果行き着いたのがバーチャルユーチューバーなのだとすれば発展の可能性は大いに存在する。

しかしこれも黎明期だからこその現象で、今後この分野が注目されるならば大手ゲーム会社やアニメ会社が本格的に参入しより高度なグラフィックで作られたバーチャルyoutuberが登場する可能性もある。

その時に黎明期のキズナアイやカグヤルナを知っている人は「初期のカクカクしたチープなほうが味わいあってよかったんだよなぁ」と懐古するかもしれない。

出始めの頃のユーチューバーも今より素人感があり、手作りで作っているような雰囲気があった。

 

しかしその頃を懐かしむ人々よりも、今現在の高クオリティの物を楽しむファン層の方が多く、将来的には今以上にクオリティの高いバーチャルユーチューバーが増えているだろう。

本家ユーチューバーもソシャゲも黎明期の頃から進化して、初期の雰囲気は確かになくなったが市場規模や影響力は拡大した。

 

ただそれは同時に製作費の高騰や新規参入の難易度上昇などの問題を発生させることにもなる。

初期のソーシャルゲームは従来のゲームに比べて開発費が安く済むことや課金システムによって収益が得やすいというメリットがあり夢のある市場だった。しかし参入する企業が増えると競争が激化し今ではソシャゲすら製作費が膨大にかかる時代になっている。

Youtuberも初期は素人が作ったものがうけていたが、今では事務所に所属する有名ユーチューバーによる寡占化が進んでいる。

 

バーチャルユーチューバーも結局は同じ運命を辿ることになるだろう。

登場し始めの黎明期だからこそちょっとチープなCGや適当な会話内容でも支持されているが、今後徐々に高度になって行って従来のアニメやゲームの製作並に力を入れて作られる時代が来るのではないか。

そうなれば製作費が高騰し初期のようなグラフィックでは生き残れなくなり、最先端CGで本格的に作られたバーチャルユーチューバーだけが生き残っているかもしれない。そしてそれが新しい文化だと持てはやされるだろう。

その時に初期の時代を知るファンは昔を懐かしむのか、それとも発展した世界を歓迎するのか、それはまだ現時点ではわかる由もない。