負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

次世代大国インドVS中国 生き残るのはどちらか?

「ぶっちゃけインドってどうなん?」とここ最近、インド事情に興味を持ち始めている自分がいる。

今日も一日インドの未来について考えていたのだが、今の日本で「インドの未来どうなるのやら」と思索を重ねている人がどれほどいるだろうか。

おそらく今から自分のインド論について語ったところで"インドに自信ニキ"は現れてくれないだろうが、自分なりのインド論について考察してみたいと思う。

 

そもそもまず日本でインドについて話題になることはあまりない。

ネットニュースでインド情勢の記事が上位に来ることは珍しいし、書店でインド特集の雑誌が置かれることも無ければテレビでインド取材企画が組まれることも無い。

中国についてはこれほど話題になるのに、インドについて日本人は驚くほど無関心だ。

実際日本においてインドに触れる機会があるとするならば、それはインドカレー屋に行ったとか、格闘ゲームでダルシムが好きだったという懐古話くらいだ。

最近では一昔前の瞑想ブームやヨガブームも無くなり、特にインドに興味を持つ機会も減っている。

 

思うに今の日本人のインド認識は、一昔前の中国認識と酷似している。

つまりチャイナドレスのアニメキャラクターか、人民服を着て自転車に乗って天安門の前を走っている、もしくはラーメンマンか芝をスプレーで塗装する環境汚染国家かというイメージと同じように、今の日本人のインド観は「ダルシムの国」や「インド人を右に」で終わる。

 

もしくは映画の時になぜか踊る国であり、ハリウッドに対してボリウッドと称される映画大国として知っている人もいるかもしれない。

自分も過去に一度だけインド映画を見たことがあるのだが、非常にクオリティが高く驚いたことがあるし、インド式の愉快なダンスは国際的にかなりファンが多いのも事実だ。

 

もう少し学術的な知識がある人ならば、インドは英語と数学の大国だと思い浮かべるだろう。

日本の大学入試でも「英国数」は重要視されるが、インドの場合事実上英語が現代文の役割を担っているので英語と数学の二大強化が抜群に優れているという国になる。

世界一の英語大国はアメリカではない、実はインドであり、これから教育水準が上がれば更に英語はこの国で重要な位置を占めていくだろう。

仮に14億の人口の中で、半数の人が英語話者になった場合インドは7億人が英語を理解する国になる。

インド人の英語は非常に訛りが強く決して綺麗な英語というわけではないのだが、もはやインド式の英語として一つの言語であるほどに確立されており、これからインド式英語がグローバルスタンダードになっていく可能性は高い。

そもそも英語の本場であるはずのイギリス人の英語自体が非常に聞き取りにくいので、むしろインド式英語の方が非ネイティブにとっては親しみやすく話者も多いという時代になっていくのではないか。

開発途上国に爆発的な勢いでスマホが普及し、大学に行かずとも最先端の情報に触れることができる今、英語をナチュラルに理解する大量のインド人が世界最先端の論文にネイティブとして触れる時代が来ようとしている。

その一方で日本は大学生ですら英語を聞き取ることができない国だという現実がある。

 

数学に関して言えばインドが「ゼロ」という概念を発見したことは有名であり、またラマヌジャンという稀代の天才を輩出した国でもある。

ラマヌジャンは世界の数学史において間違いなく歴代トップ10に入る天才であり、「天から公式が振ってきた」というひらめきに満ちた天才だと言われている。論理的な記述を詳細に記しているわけではない物の、なぜかそれが証明できてしまうという話もあり、このように時として規格外の天才を生み出すのがインドだ。

また世界の大企業のCEOがインド人経営者になっているというビジネス界の動向もあり、今後国際舞台においてインドの存在感が増すことは間違いなさそうだ。

 

もうひとつ加えるならばインドは軍事面でメキメキと実力を伸ばしており、事実として核保有国であり空母保有国でもあるというれっきとした軍事大国でもある。

現にロシアから大量に最新兵器を買い集めており、空母も元々はロシア製だ。その上、宇宙開発にも力を入れており、インドの科学技術力は決して軽んじるべきではない。

 

インド

「規模が大きいだけの開発途上国は真の先進国にはなれない」という日本人の幻想は、中国の発展を見て完全に崩れ去った。

中国など10年前はGDPで5位ほどで、イギリスと競っていた存在だったが今では日本を追い越してアメリカとバチバチやりあっている。日本が中国に勝っている事といえば精々市民意識と、過去の遺産で取ることができているノーベル賞くらいであり、もはや完全に中国の方が発展している。

誰がこのようなことを想像できただろうか?

「ラーメンマンの国」が日本を超える先進大国になったように、「ダルシムの国」が日本を追い越していくことは時間の問題だ。

開発途上国を舐めてはいけないし、自分たちの先進性を過信してはいけないという教訓を日本人は忘れるべきではない。

 

そしてこのインドと中国は今後、間違いなく世界をリードする国になるだろう。

おそらく10年後の国際ニュースはインド関連か中国関連のどちらかが主流になっており、「中印冷戦」と呼ばれる時代も来るかもしれない。

 

かつて米ソが冷戦を繰り広げた時期はお互いに国家体力に満ち溢れていた時代だが、今からその体力に溢れた国になっていくのは莫大な内需経済が発展する中国とインドだ。

当時でも米ソは人口大国だったが、規格外にその規模を上回るのが中印であり戦後の時代に騒がれた「人口爆発」はむしろこれからやってくる可能性がある。

 

戦後初期の文献などを見ると「中国の人口増加」というのは未来の問題として非常に危惧されていたが、今ではおさまったような感覚がある。確かに都市部では先進国化して少子化の傾向にある物の、「一人が使う資源」という意味で中国はむしろその消費量を増加させつつある。

一人っ子政策も廃止され、仮に中国人やインド人の大半が先進国水準の生活をするようになれば地球はあっという間に枯渇するだろう。

 

幸いなのはこの両国が宇宙開発に力を入れている事であり、両国政府も自国の人口を地球の資源だけでまかなう事には限度があることを認識している。現状、最後のフロンティアであるアフリカに中国は関心を向けているが、今後その"アフリカ利権"を巡ってインドと中国が衝突する可能性も否定はできない。

 

仮に第三次世界大戦の可能性があるならば、アフリカ利権、もしくは宇宙利権のどちらかで中国とインドが競い合う時なのではないか。

その時にこの両国のどちらが生き残るか試されることになる。

世界最大の自由主義国家と共産主義国家が今後100年の覇権を争う時代が来るのか。現に中国とインドの関係は上手くいっているとは言い難い。最近、中印関係は、国境付近における軍事面での協力を模索し雪解けムードにあるものの、共に両国とも中々の「武闘派」国家だ。

軍事パレードが面白く、非暴力を唱えたガンジーのイメージがあるかもしれないが、インドはバリバリの武闘派であり何度もパキスタンとやりあっているような経歴がある。

日本人は中国の軍拡には敏感になる傾向があるが、平和的なイメージと裏腹にインドがしきりに軍事拡張を行っている事実がそこにはある。

 

本来ならば緩衝地帯になるはずであったチベットも今では中国に取り込まれて、二つの超大国が隣接しているのがアジアの現状だ。

逆に言えば中国が戦後初期の段階でいち早くチベットを併合したことが、中印関係において有利に働いたとも言えるだろうか。

更に中国が同盟国として支援しているパキスタンとインドの関係が不安定なことも混乱に拍車をかけている。

中国共産党の幹部指導者はエリートだけあって非常に賢く、ロシアとの対立関係を長年の努力によって改善し、最近では反日を乗り越え日本とも協調路線を歩み始めようとしている。中国の立地上、外敵に囲まれているので近隣に敵を作るとあっという間に不利になる、そのことを彼らはしたたかに理解している。

 

かつてそのチベットのダライ・ラマ14世は中国から逃れ、インドに亡命したことを自伝で語っていたのだが、その著書で彼はインドを絶賛していた。

「中国人のほほえみの裏には何かが隠されているが、インド人のほほえみは本物だ」と語ったり「元々インドとチベットは仏教国なので伝統的に友邦関係にあった」とも記述している。

 

もちろん日本人にとってもインドは仏教国として始まりの地であり、今日の日本に大きな影響を与えた国と言っても過言ではない。

今でこそヒンドゥー教が優勢だが、元々は仏教が生まれた国であり日本人にとっては縁の深い存在だ。戦前、日本の商品が最も売れていた輸出先の一つがインドでもあり、戦後は日印関係にも力を入れてきた歴史がある。

 

自己啓発本にありそうなタイトルかもしれないが「今日からインド人の友達を3人作りなさい」というのが今の日本人にできる事かもしれない。

日本人にとっては世界情勢を知るきっかけにもなるだろうし、当然英語力を高めるきっかけにもなる、そしてインド人が日本に対して友人として好印象を持つことは巡り巡って大きな意味を持つはずだ。

一定の教育水準にある人ならば英語がある程度通じるという意味はやはり大きく、この点でインドは今後大きな可能性を持つ。例えば東南アジアのベトナムやタイに可能性があるからといっても現実には言葉の壁が大きいが、インドは人口15億に達する巨大国家であり英語が通じやすい国だ。

 

大胆なほどに先進性と後進性が混在しながら近未来において確実に存在感を増していく国、それがインドだ。悠久の歴史を経て再び中国が世界の中心に登場してきたように、インドもその機会を後を追うように見つめている。

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