負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

韓国政府が本当に慰安婦合意を破棄しそうな件

闇の深い韓国政治において大統領を務める政治家があと何年その職を維持できるかはわからないが、現在の文在寅大統領は恒例の「反日」を政治利用し始めている。

 

もはや韓国の政治が反日一色な事は今更の事であり感覚が麻痺しているが、3.1節(独立運動を記念する韓国の休日)で文在寅大統領が「加害者が過去の事は終わったと言うべきではない」と発言したことは大きな波紋を呼んでいる。

 

まず前提として自分は日本による旧朝鮮の統治は、韓国の左派が言うほど極悪非道ではないが日本の右派が言う程理想的な統治だったとは言えないという立場をとっている。

歴史の捏造も美化もあってはならない、常に史実は一つでなければならない。

 

現在文在寅大統領の支持率は就任当初から徐々に下落し始めており、いずれその下降が深刻になる時がやって来る。そういう時に政治家が支持率回復のために必要とするのが「実績」であり、韓国の政治において常に反日という好材料は利用され続けてきた。

かつてIMF危機において瀕死の状態にあった金泳三元大統領が、朝鮮総督府庁舎を爆破し彼らの言うところの日帝残滓を清算したことはその象徴だ。

 

文在寅は紛れもなく韓国の左派を代表する存在であり、かつて反日、反米路線を取っていた盧武鉉元大統領とは師弟関係にある。

韓国において反日は道徳であるとまで表現されるが、仮に慰安婦合意を破棄することに成功すればそれは紛れもなく文在寅政権の大きな実績になるだろう。

 

韓国では日本統治時代の京城(現ソウル)を再現したロケミュージアムが作られており、ここでは安くドラマや映画を撮影できる上に視聴率も高いことから抗日作品が量産されている。

そういったドラマを見ると日本は非常に酷い統治をした悪役として描かれており、これはここ数年の間でも作られ続けている。

 

韓国人の歴史観に照らし合わせれば、日本という巨悪に立ち向かったというのがいわば英雄的なストーリーとなっている。

人間は誰しも悪に立ち向かうストーリーに酔いしれるものだが、日本は今現在もこうして都合の良い悪役として利用されている現状がある。

自分が韓国人の立場だったならと仮定するならば、自分もこういった抗日独立運動に思いを馳せていただろう。それほどに心情的な求心力や民族精神を惹きつけるものがあるのも事実だ。

そしてこれは韓国国内において今も根強い民族史観となっている。

公平を期すならば日本も第二次世界大戦ではアメリカやイギリスに立ち向かったという歴史観が支持を得ているので一方的にそういった感情を否定することはできない。

 

自分は韓国人が反日になることはある意味仕方がないことだと考えており、今回のように慰安婦合意を破棄する方向に向かうこと自体は理解できなくもない。逆の立場ならば自分だってこの問題に情緒的になっていた可能性があるだろう。

元々慰安婦合意は国民的な同意を得て成立したわけではなく、まだ議論が必要な問題であったのも事実だ。

 

しかし真の問題は「反日」に加えて「反米」に韓国政府が舵を切っているところにある。

反日と反米、それはつまり朝鮮民主主義人民共和国が何よりも重要に掲げている二大イデオロギーである。

反日という韓国国内における道徳を入り口にし、最終的には反米に繋げるという北朝鮮の手法は客観的に見れば非常に順調に進んでいるように見える。

 

仮に韓国政府が本当に慰安婦合意を破棄するならば日本国内で嫌韓ムードは高まるだろう。

日本人としてみればもうこういった歴史的な反省要求にはうんざりしており、「70年の間、十分に反省した」という思いが強い。これは旧朝鮮が日本に統治された36年間のほぼ倍に値する期間だ。

今更反省するべきだと言われたところで、もう何度も長い間反省しており、日本の国民感情はもはやかつてのように周辺国に従順ではないだろう。

これはあくまで大局的に日本人の心理感情を分析した物であり、完全に自分個人の意見ではない。保守政権が安定期に入り切った現在の政治情勢を考えれば、日本がかつてのようになることはないというのが冷静な視点だ。

 

これは韓国においてもはや右派政権が誕生しないであろう事と同様であり、韓国が革新の安定期に入ろうとしているならば、日本は完全に保守の安定期に入りきっている。

つまりこれは政治問題と歴史認識において日韓が完全に別の認識を持つということを意味する。

 

個人的には韓国のK-POPや大衆文化に好感を抱いているが、政治に関しては完全に亀裂が入ったと言わざるを得ない。

韓国の左派に共通している感覚として「北朝鮮は同じ民族であり、政府は独裁かもしれないが個人一人一人は現代の韓国人が失った純朴な感情を今も持っている」という同情意識のような物がある。

彼らからすればいくら民主主義国家、自由主義陣営として日本と共通するところがあっても民族としての情念が優先してしまうのだ。

 

それ自体は彼らの心理的な問題であり民族が異なる日本人には理解することができないのは必然だ。分断国家を経験していない日本人にとってその複雑な心情を心の底から理解することはできない。

日本人の中にも「韓国よりは北朝鮮の方が良い」と考える人は多く、反日と嫌韓は新たな現代型の新たなイデオロギーに発展しつつある。

 

しかし上述のようにここに「反米」という意識が絡んでくるのならば、それは完全に北朝鮮にとって思う壺ということになる。

 

韓国の国民が北朝鮮に対して同情的になり、日本に対して敵対的になることに関しては歴史を鑑みればある程度理解はできる。

しかしその憎き日本から解放し独立させてくれたアメリカに対してまでも敵対意識を持つことは果たして彼らのためになるのだろうか。

韓国が北朝鮮に近づくことと反比例するかのように、日本はよりアメリカを信頼し始めている。

 

そしてアメリカも韓国に不信感を抱き、ますます日本を東アジアの同盟国として重視するようになるだろう。

現在韓国政府が推し進め、最終的に政権維持の切り札にしようとしている従北反日の傾向は結果的に米韓関係を希薄にし、日米関係を濃厚にするようにしか思えない上に、日本にとっては良いチャンスであると彼らは気づいていない。

日本としてみれば韓国が北朝鮮に近づくために反日を利用すれば利用するほど、東アジアにおける米国のパートナーとして地位が韓国よりも高まっていくという好循環にある。

韓国が信頼する国家は自国の大統領を何度も暗殺しようとした国家なのか、それとも朝鮮戦争において窮地の国家を救い出してくれた国なのか。

反日はもはや慣れており構わない、しかし反米にまで及ぶのならば北朝鮮の思惑通りなのではないだろうか、そう危惧せずにはいられない。