メジャーリーガーになったイブラヒモビッチのゴールが相変わらず凄い
アメリカMLSに移籍したイブラヒモビッチが早速デビュー戦でやってくれた。
これぞイブラというようなスーパーゴールでチームを勝利に導き、新たなる伝説の開幕を告げた。
しかもLAギャラクシーの今回の対戦相手はロサンゼルスFCでもあるため「ロサンゼルスダービー」という舞台まで整っており、やはりこの男は何か持っている。
かつてスウェーデン代表時代にイングランド戦で決めたあのオーバーヘッドゴールを彷彿とさせるような強烈ボレー弾は、ゴール裏から見るとその回転が凄まじいことが分かる。
そしてヘディングでのゴールも決めており、メジャーリーグでの大暴れを予感させる最高のデビュー戦となった。
イブラヒモビッチと言えば怪我から復帰したばかりであり、以前のようなアクロバティックなプレースタイルを取り戻せるかどうかが不安視されていたが「イブラ健在」というようなゴールを見事に決めた。
やはりイブラはアメリカでもイブラだ。
更に移籍してからという物の俗に「イブラ節」と言われる発言も急増しており、ようやくズラタン・イブラヒモビッチという神が帰還したことを象徴づけている。
「王」と言ってはいけない、なぜなら「神」と言わなければ本人から怒られるからだ。
「ライオンは餓えている」
「ズラタンをファンに与えてやったよ」
「戦争に行くならガットゥーゾを連れていく」
ここ最近だけでもこのような発言をしており、アメリカ人好みのキャラクターをしていることも彼がMLSで愛されるための大きな魅力になるだろう。
外見、プレースタイル、言動、その全てのキャラクターがアメリカ人の好みに合うため、アメリカのサッカー人気向上に大きな足跡を残すことは間違いない。
やはりアメリカ人はスポーツに豪快な要素を求める嗜好をしているため、まさにイブラヒモビッチはMLSに適任のスターだ。
まだ欧州に残って欲しかったというのがファンの心理ではあるが、中国スーパーリーグや中東に行くよりはアメリカを選んだことは良い選択をしたと言える。
アメリカ人がサッカーで見たいのはダビド・ビジャのような小柄な選手が巧みにオフサイドラインと駆け引きをする事ではない。それがサッカーの魅力ではあるが、アメリカ人の好みではない。
アメリカのサッカーファンが求めるのは今回のイブラヒモビッチのゴールのように、派手なロングシュートなのだ。
欧州のトップリーグに比べてやや緩いリーグというのも相性が良く、エンターテイメント性に富んだ派手なゴールは今後数多く見られるかもしれない。
アメスポと言えば四大スポーツとしてフットボール、バスケットボール、ベースボール、そしてアイスホッケーが地位を確立しているが今後サッカーが5大スポーツとなるのか、それともホッケーを超えて4大スポーツの一角になるのかにも注目が集まる。
イブラのMLS移籍はアメリカのサッカー人気自体を大きく変える可能性もある出来事だ。
今回のワールドカップでアメリカは予選を勝ち上がることができず、サッカー人気にストップがかかるのではないかと思われていたがむしろイブラヒモビッチの到来はその人気に拍車をかけるだろう。
イブラヒモビッチ自体、その名が示す通り旧ユーゴスラビアのボスニアとクロアチアにルーツを持つ選手であり移民の子孫である。
だからこそ移民の国アメリカとも相性が良く、更に白人であるという事も「ヒスパニックに人気なスポーツ」というアメリカにおけるサッカーのイメージを変えることに役割を果たすのではないかと自分は見ている。
ロサンゼルスという国際色に溢れた都市に、イブラヒモビッチは大きな存在感を示すことになるはずだ。
ところで背番号が9番なのが気になり、イブラのトレードマークである「10番」は誰が付けているのかと調べたところ、メキシコ代表のジオバニ・ドス・サントスだというのは個人的に驚いた部分だ。
アメリカと言えばメキシコ人も多く、ここにアメリカ人好みのイブラヒモビッチが加われば、ロサンゼルス・ギャラクシーの人気には更に不動のものになりそうだ。
ジョビンコ、ランパード、カカー、ビジャ、ピルロと大物の移籍が相次いでいるが、彼らはアメリカのサッカー人気の決定打になるような選手だったとは言い切れない。
ここにイブラヒモビッチという強力なキャラクターが加われば、かつてのベッカム以上に大きな役割を果たし、アメリカがサッカーの国に変わっていくきっかけになるのではないか。
そもそも既にプレシーズンマッチでヨーロッパの名門クラブが訪れた時はスタジアムが満員になるほどの人気があり、ワールドカップの時のアメリカの盛り上がりはもはや「サッカー不毛の地」ではないことを示してきた。
最後に欠けていたラストピースがリーグにおけるスター選手であり、ここに自らスターを演じることが大好きなイブラが加わればエンターテイメントという意味でも盛り上がることは間違いなさそうだ。
既に注目度は高く、アメリカ人が求めるキャラクターが遂にメジャーリーグに到来した。
英語が堪能なことや、ニュースペーパーの見出しに使えるような発言が多い事は従来のサッカー選手のイメージと大きく異なる。彼はアメリカ文化の愛好者であり、むしろ欧州で異端児として扱われていた個性はアメリカで輝くことになるだろう。
挨拶はこうしてスーパーゴールを披露することで行った、彼がアメリカンドリームを掴みとる準備は既に整っている。