負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

深夜徘徊しながら飲む酒の美味さは異常

相変らずお酒ばかり飲んでいるが、昨晩は少し違う飲み方をしてきた。

それは深夜に街を歩きながら、片手に持ったお酒を飲むという行為だ。

冬も終わり夜中に外を出歩いてもそれほど寒いという事は無くなり、自分の秘かな楽しみである「深夜徘徊酒」を再開できるようになった。

 

この深夜徘徊酒の何が良いのかというと、ただ単に部屋にこもり酒をあおるスタイルよりは余程いい思い出になるという事にある。

ネットやテレビを漠然と見ながらとにかくお酒を飲むというスタイルは、結局何をしていたかよく覚えておらず虚無感と後悔しか残らない。

3日前にどういった飲み方をしていたかなど覚えてもいないのが家での独り宅飲みだ。

 

しかし苦労して遠い場所にまで歩いて飲みに行ったことは数か月前の事でも良く覚えており、とても懐かしくなる。

ネットを断ち切り一人で考える時間も人生には必要なのだ。

特に自分の家の周りは田舎の中でも田舎の方なので、本当に夜中は暗く光が無い。

そこから徒歩で1時間以上かけていけばある程度市街地に着くのだが、やはり遠く歩いていくことは滅多にない。

だからこそ時々行ったときはよく覚えており、苦労した分だけ後に懐古できる思い出にになる。

深夜徘徊

昨晩はまず自分の人生について考えながらとにかく散歩し夜に歩いて行った。

途中でコンビニがあるのだが、今回はスルーし本来は元々飲まないつもりでとにかく遠くまで進むことにした。

自動車で行けばあっという間の距離ではあるが、飲んでしまうと車では帰れなくなるので仕方なく徒歩で行く。また歩いているときはいろいろな思索もすることができるので、様々なことを考える良い時間にもなる。

 

そしてようやく市街地に着くのだが真っ先に自分がしたことと言えば、自販機で酎ハイを買ったことである。なぜか近場ではこの自販機でしか売っていないような酎ハイがあり、これが本来の目的だったとも言える。

以前来た時は数か月前だったのでもう販売していないかと思ったが、まだ売っていて安心した。

その後近くにあるパチ屋の入り口付近にあるベンチで休憩しながらそのお酒を飲むことにした。

 

深夜の田舎のパチ屋というのはある意味、最も活気づいており、最も寂れた場所である。

自分自身はパチをするタイプではないのだが、そこにやって来る客層を見ることは楽しい。趣味が人間観察だという人は多いが、パチを打ちに来ている人たちの何とも言えない寂れた哀れな雰囲気を見ているとまるでこの世に、自分以外にも駄目な人間がいるのだという安心感を得られる。

パチを打ちに来ている人も、自分にだけは見下されたくないかもしれないが社会の吹き溜まりのような雰囲気のこの場所はなぜか落ち着く。

大した娯楽施設も無いような地方だと尚更その雰囲気が恋しくなる時がある。

 

その後もう少し活気づいたところに行き、居酒屋や飲食店が点在しているようなスポットを一人徘徊することにした。

田舎の場末の酒場の雰囲気は決して嫌いではない。

カラオケを設置している場所もあるので外からも聞こえてくるが、入りたいという思いを抑えながら安酒で我慢する。

それどころかマクドナルドやすき屋のようなチェーン店も今回は我慢しなければならなかった。

「アルコールの入っていない物を買うのはもったいない」という価値観に染まっているので、ハンバーガーを2つ買うお金があるならばその分お酒を買うという貧乏人の考え方だ。

 

かつてオードリーの春日が売れない芸人時代に「ダクト飯」といって、焼肉屋の香りをおかずにご飯を食べていたというエピソードを話していたことがある。

そのダクト飯をリスペクトしているわけではないが、自分は焼肉屋の周りを歩くという行為もこうして街に出たときは行う。

これがなんとなく食べた気分になるという0円焼肉である。

もちろん、ずっとうろついているわけではないが、焼肉屋の近くを通りその雰囲気を味わい「いつかここに来れたら」と羨ましく思う事で反骨心に繋げている。

居酒屋や焼肉屋、それどころかファストフードのチェーン店さえも今の自分にとっては中々行く事の出来ない羨ましい場所だ。

本当に惨めで哀れな底辺行為だが、こういったことがいつか懐かしい思い出になるのだと信じている。

 

その後深夜まで営業している量販店に行き「この商品買えたらな」と思いながら、店内を散策し酒類売り場に到着する。

今の自分にとって一番テンションが上がるのはお酒コーナーに入った時だ。

リア充はファッションコーナー、オタクは家電売り場や玩具売り場が一番興奮するのかもしれないが自分が一番楽しいのはお酒コーナーである。

そこでなんと9%度数のロング缶で100円ちょっとという激安の酎ハイを発見する。

これを迷わず購入して、そろそろ帰路に着くことに決める。

流石に長い距離も歩き、体力も減っていたのでもう明日の朝になってから帰ろうかと思っていたが暇をつぶす手段も無いので仕方なくお酒を飲みながら歩くことに決めた。

 

酔っているとその時だけは楽しいので、ポジティブにいろいろと思索しながらなんとか歩き続け無事帰り着くことに成功した。

以前来た時は飲み過ぎてここで歩けなくなったなと懐かしくなりながらも、今回は無事に一夜で帰り着くことができた。

大して活気づいた街ではないが、日ごろ自分が過ごしている場所よりはまだ活気づいている。

そういうところを徘徊すると少しは非日常感があり刺激を得ることができる。

あまり何もない田舎の風景に馴染みすぎていると欲望も野心も生まれてこない。

時々刺激を得るために深夜の街を歩き、このままではいけないと言い聞かせながら人生について考え直すことも大事だと改めて感じることができた。