負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

中国人が日本語に堪能な事には理由がある

なぜ中国人に日本語が上手い人が多いのかわかりますか?

自分自身日本語が上手い中国人を良く知っていてテレビ番組やインターネットなどでも日本語が上手い中国人を見る機会は多い。

もちろん日本に興味があったり日本にやってくる中国人が日本語が上手い傾向にあることは当たり前のことで、中国人全体を見たとき当然日本語がほとんどわからない中国人の方が多いことは事実と言える。

 

ただ同じ日本人の中国語学習者と比べたとき、中国人の日本語学習者のほうが比較的レベルが高い傾向にあってそもそも日本人自体外国語の習得があまり上手くないという実態がある。

この差はどこから来るのか?

その差を考えたとき最大の違いは勉強へのモチベーションの違いにある。

中国人は「幸せになるためや生活のため」に日本語を学んでいて、日本人は「日本語だけで何とかなるし中国語は漢字を使っているから簡単そう」という理由で中国語を学ぶ傾向にあるという差が存在する。

 

外国語というのは道具や生活の手段として本当に必要としているときが最も身に付くものであり、中国人は言葉は悪いがお金のために必死に日本語を勉強しているから日本語が上手い。

逆に日本人は楽するために中国語を勉強していて「漢字割引券」があるから中国語を勉強している人が多い。そもそも勉強して数年後使えなくなったところで困らないのである。日本人にとって外国語は学生時代成績や単位、受験のために必要なものでしかないのだ。

 

そもそも日本人って実際のところ外国語を勉強する必要がないと言えばないんですよ。

正直日本人が日本語しか使えなくてずっと日本で暮らしてても十分幸せで、日本国内に裕福な暮らしを獲得する手段なんていくらでもあるという国際的には恵まれた環境に我々は住んでいる。

自分だって日本社会では負け組だと思っていても世界にはもっと恵まれてない人はいて、本気を出して日本社会で本当に頑張っていこうと思えば数年後は状況が変わっている確率が高い。しかも日本語以外の外国語をわざわざ覚える必要がない。

正直まっさらなところから外国語を覚えたり、競争の厳しい英語を極めるよりも完全に言葉とは違うジャンルの資格でも見つけて真剣に勉強したほうが将来の幅は広がってくる。日本において外国語を使えることのメリットはそこまでなくて、日本だけでも十分人生変える方法っていくらでもあるというでは恵まれてる国だと言える。

 

逆に中国人は日本人が思ってる以上に「先進国」への憧れがあって中国を出たいと思ってる人が凄く多い。「外国に出て幸せになる」ということへのモチベーションが全然違っていて、言葉を覚えることが現実的に幸せになるための手段だとみなされてる傾向にある。日本で実際「日本は貧しいから外国に出てお金持ちになってやる」と言ってる人が実際身の回りにいるだろうか、ほとんどいないのではないだろうか。

海外脱出が必要なほど日本の状況は悪化していないし日本にいることに危機感が沸かないという現状がある。海外に出稼ぎに行かないといけない程落ちぶれているわけではないし、今の所わざわざ脱出するほどの国ではないし日本より明確に進んでる国ってまだそこまで多くない現実がある。

 

「海外に出て幸せになる」という最大のモチベーションを日本人は抱きにくいためそれほど外国語を熱心に勉強しようと思わないし、実際に必要ないと言えば必要ないのも確か。

また中国人の富裕層の親には幼少期を貧しい環境で過ごした人が多く、大きな期待をかけて日本への留学を子供にさせるという人も多いらしくそういった親からのプレッシャーもまた日本語上達の理由になっていたりする。

実際自分が高校の時も中国人留学生がいたし、母国では相当のエリートだったようである。また期待をかけられて日本に留学したものの日本になじめずほとんど日本人と話していない孤立した中国人学生なども一定数いるようだ。

 

加えて中国人は元々外国語を実戦的な商売道具の一つとして考える文化が非常に強く、日本の翻訳の道具や教養の一環として外国語を勉強する文化とは異なる部分がある。たとえばよくアニメの中国人キャラクターが「アル」という語尾を使うことが多いが、これは協和語といって単純化された覚えやすい日本語の一つである。

日本語に限らず中国の商人はビジネスとして様々な国の言葉を最低限伝わるレベルで簡略化して覚えることが文化として根付いており、言葉は実際の現場で使う物とという発想をしている。

この部分は丁寧に翻訳して正確に先進文明を輸入するために翻訳文化を築いた日本と違う部分である。たとえば古くは遣隋使、遣唐使の時代から大陸の文明を受け入れ、杉田玄白の解体新書のようにオランダ語書物を翻訳していたこともあったし、明治維新のときは徹底してエリートが西洋文明の書籍を日本語に翻訳して普及させこれが日本近代化の礎を築いた。

外国語を話したり、外国に行って商売をするということが中国人の発想であり、あくまで進んだ国の文明を自国に取り入れて自国で活用するために翻訳するというのが日本人の発想である。

 

どちらがいいというわけでもなくその背景には文化的な要因が存在するという事である。

たとえば現代において中国が圧倒的な超大国で、文明の面で圧倒的に進んでいれば日本人はかつてのように中国語をものすごく熱心に勉強し中国の文明や中国語を取り入れていただろう。現にこの文章の中でも使っている「漢字」はその遺産である。

中国から文化や技術などの文明を取り入れる必要がなくなったため日本人の中国語学習熱は下がり、また海外に行って商業を行うために外国語を勉強するという文化もないためこれだけ中国が発展した現代でもなかなか中国語学習熱は上がっていかない事情がある。

まさに両国の国民性や言語に対する考え方の違いが表れているのが日本人と中国人の語学力の差だろう。

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