負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

フランス大統領に「マザコン」のマクロンが就任

今回のフランス大統領選挙は結果的にマクロンが決選投票で就任した。個人的な予想で言えばルペンが勝つのかなと思っていたら特にサプライズは起こらずマクロンが大統領に就任することが決まった。

実はフランスの大統領選挙は極端な左派や右派が誕生しにくいシステムであるらしくかなりよく考えられたシステムになっているということが分かった。トランプの時はヒラリーが勝ちそうと言われてトランプが勝ったけどもフランスで同じようなことは起きなかった。

 

また投票前の一対一の討論番組でもかなり押されていたらしく「さすがにルペンは不安」というの不安が直前にやってきたのかもしれない。今まで慣れてきた通貨ユーロがフランに戻ってしまえばすべてが混乱する、この点は元々ユーロを導入しておらずポンド制をしいていたイギリスとの最大の違いだったかもしれない。

またなんだかんだで島国気質や欧州への独立意識の強いイギリスと違い、共和制のフランスは周りの欧州の国と連合を続けることの方が良いと考えたのだろう。

その結果「マザコン」とも揶揄される左派のマクロン政権が誕生し、フランス史上最年少大統領の誕生が決まった。こちらもある意味でフランスらしい大統領というかルペンかマクロンかのどちらにしても興味深い結果であり世界の潮流が変わっていることは間違いない。既成の政党が見放されていることは左右問わずトレンドだと言える。

 

ただこれからの展開で言えば、まだテロの脅威がなくなったわけではなくむしろ移民に寛容なマクロン政権の下ではよりテロが起こないやすくなる危険性もある。過激派は「優しくすれば市民の1人として定着してくれる」と甘い考えでは通用せず、むしろ増長し更に「イスラム化」に向かい活動を過激化させていく傾向にある。むしろ「わざわざ活動しやすくしてくれてありがとう」と彼らは思っているかもしれない。

 

その結果このマクロン政権の期間中に再びテロが起きる可能性は否定できない。そのテロによって「やはり寛容の精神ではもう限界がある」とフランス国民が気付いたとき今度こそ右傾化が加速するのではないか。「ルペンにしておけばよかった」となった場合今度の大統領選ではルペンが圧勝する可能性すらあるだろう。

 

かつてのアドルフ・ヒトラー政権も元々はそれほど順調に政権を獲得したわけではなくなんどか選挙をやり直して権力を獲得している。実はナチスが完全に勝利したという選挙結果は無いのだ。そこを政治のトリックで独裁政権にまで仕立て上げていったのがヒトラーのやり方である。

 

そう考えたときに今回の決選投票ですら実は3割以上の票数を獲得した国民戦線やルペンの存在はやはり無視できない。むしろこの選挙システムでかつて極右と言われ嫌悪されていた国民戦線が決選投票に勝ち進んだこと、そして3割以上の票を決選投票ですら勝ち取ったことはフランスの変化を象徴している。

「マクロンが勝った、やはり自由のフランスが勝利した」と手放しで喜べる状態ではないのも事実だ。そしてマクロン政権がそもそも良い政権になるかというのも疑問だ。まだ欧州の政治は着地点を見つけたわけではない、むしろこれからが波乱の始まりだろう。