負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

リヴァプールさん、素人をゴールキーパーにしてしまう

チャンピオンズリーグ決勝のリヴァプールVSレアル・マドリード戦を見たけど、何だこの試合は?

呆れて言葉も出ないというか、サッカーの試合を見ていたと思ったらなぜかコント番組を見ていた。

何を言っているかわからねぇと思うが恐ろしい片鱗を味わったぜ。

結果的に言うと多くのサッカーファンがリヴァプールを応援する雰囲気の中、レアル・マドリードが3-1で勝利してCL三連覇を成し遂げ白けているというのが大まかな流れだ。

 

シンプルな質問をリヴァプールサポーターに聞きたいんやが、あのカリウスとかいうGKは素人か?

 

普段リヴァプールやプレミアリーグをそこまで見ているわけではないので、事情がいまいち分からないが、あれは明らかにプロのゴールキーパーではない。よくGKの珍プレー集のようなものでやらかしのようなものが動画にされるが、間違いなく今回の失点は未来永劫晒され続けるだろう。

超大舞台であのミスはやってはいけないし、逆にいえばネタGKとして一気に知名度を上げたと言えるかもしれない。

 

どういうプレーだったかというと、キャッチしたボールを手で味方DF陣に流そうとしたらそこにベンゼマがいてボールをかっさらわれてそのまま失点というもので、あまりにもお粗末な失点だった。

そしてこの失点の後に何とか味方のマネがゴールを奪って同点に追いついて、さあこれからレアル・マドリードを倒すぞという時にムードになった。

しかし途中で出場してきたガレス・ベイルがとてつもないオーバーヘッドシュートを決めて1-2になる。

そして笑いの神様はここでは終わらせてくれず、最後のおまけとしてそのベイルがカットインして打った無回転ミドルシュートをはじいた物の、それがゴール側に吸い込まれてしまい1-3でジ・エンドという結果を迎えた。

 

そもそも今回のリヴァプールは決勝にいるべきチームではなかったのだが、なぜか勢いで決勝までやってきてもしかしたら10数年ぶりに優勝できるのではないか中で、決勝にどうしても最後のツキのような物が足りなかった。

ジェラードがこけてリーグ優勝を逃したり、キーパーがやらかしてCL優勝を逃したりともうこんなんばかりやっている印象しかない。

だからこそそこが面白いのだろうし、1失点目の時サポーターの一人が落ち込んでいる横で隣の人が若干笑ってるところがなんともリヴァプールらしい。

「うちのクラブはこんなんやねん」みたいなことをサポーターも長年の経験で分かっているというか、そういうところも愛着が沸く可愛さのようなものかもしれない。

奇跡のようなドラマチックな試合か、盛大なネタ試合のどちらかという極端なチームであり、ギャンブル性が高いというところに魅力があるのがリヴァプールだ。

残念ながら今回はネタのほうのリヴァプールが出てしまった。

 

ツキの無さで言えばモハメド・サラーが怪我で早々に退場したというところも予定にはなかった事だろうし、そのサラーがワールドカップに出られないという事も含めてちょっとサッカーファンとしては悔しい部分がある。

 

逆に言えばベイルの立場としては最高の夜であり、歴史に残るということになる。マドリー三連覇の立役者として決勝で2ゴールはこちらもまた未来永劫語られる。

しかもそのベイルはこれまで散々給料泥棒だと叩かれて退団まで噂されていた。怪我でほとんどプレーしていない奴に大金を払う必要はないと現地では批判の的だっただけに、一試合で評価を覆した。

こういうところもサッカーの面白さであり、笑う者あれば泣く者ありだ。

10回目の優勝を意味するラ・デシマの時も土壇場でゴールを決めてチームを救ったのがベイルなのだから、この選手は地味に決勝に強い。

 

バルセロナに移籍したコウチーニョは若干喜んでそうだ。

自分が退団した直後に優勝されると新京としては複雑だろうし、ライバルチームの優勝とはいえ内心ちょっとホッっとしてるように思う。

ジェラードも元所属チームが優勝できなかったことの悔しさもありつつ、自分の以上のやらかしプレーが出て、ちょっとだけホッっとしているような気がする。

 

イスコは2回決定的チャンスがあってそれを外して交代して、その代りに出てきたベイルがこうして活躍するのだから歴史に名を残すチャンスを逃してしまったということになる。イスコもまた現地では役立たずだと言われていてせっかく巡ってきたチャンスだっただけに、ちょっとこれからクラブ内での立ち位置は悪くなりそうだ。

 

あとクリスティアーノ・ロナウドは決勝に強いと言われていながら、今回はほとんど見せ場が無かったし最後乱入者にチャンスをつぶされるというこれまたお笑いのような展開だった。さすがにロナウドにこれ以上いい思いをさせるわけにはいかないというサッカーの神様の計らいかもしれない。

 

ただその直前に繋がればビッグチャンスだという決定的な横パスをリヴァプールの選手がカットしたシーン、あれがオウンゴールになっていればお笑い度がもうちょっとあがって伝説の試合になったんじゃないかという心残りはある。

ネタ試合にするならやりきってほしかったなぁ。

 

ただいい意味でこの試合からサッカーのリアルさのような物を感じ取ることができた。

よくサッカーはミスをするスポーツだと言われるが、どんな名選手でもミスをする人間味のような物に惹かれる。メッシのような天才的な選手ですら試合中に何気ないトラップミスやパスミスをするし、それこそ世界トップの選手が素人のようなミスをする。

どんな選手も人間なんだなと思いながら見ていると面白いし、ミスをして当たり前だというこの大前提がとても面白い。ゲームの中のメッシはミスをしなくても、現実のメッシはミスをする。

 

それぞれの人間事情が面白いし、いろんな思いを持ちながら試合をしているところにドラマがある。

仕事や勉強に限らず日々の日常生活の中でも、人間は様々なミスや失敗をする。それが些細なミスな時もあるし、今回のように重大なミスのような事もある。

しかし人間は絶対にミスをする生き物であるということを考えれば、そこまで自分を責める必要が無いと納得できる。ミスや失敗に厳しい世の中になっている時代に、これだけミスが多発するスポーツを見ているとどこか寛容になれる。

リヴァプールは確かにビッグイヤーを逃したかもしれない、しかしそれ以上に大きな笑いを世界に届けてくれた。

きっとその意味合いの方がトロフィーよりも輝いているはずだ。