負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

どうしようもない格差社会の中でどう生きればいいのか

格差社会という言葉がしきりに使われるようになってから既に久しい。

世界は格差が進んでおり、もはやイギリスのように明確な階級社会が存在する国もあるしインドのようにカースト制度が実在する国もある。

 

イギリスの階級社会というのは3つに分かれている

・Upper class(上流階級)

・Middle class(中流階級)

・Working class(労働者階級)

よくサッカーは労働者階級のスポーツだという表現をされることがあるが、自分がサッカーが好きなのはこの労働者階級の文化に共感していることが一つの理由でもある。南米やアフリカの貧困層にとって唯一の娯楽がサッカーであるような文化にも親しみを覚える。

 

また世界的に有名なケンブリッジ大学に進学する人のほとんどが上流階級出身者であり、労働者階級出身者が進学した場合孤独を感じることが多いと言われている。

イギリスの国会議員だったジョー・コックス氏が孤独問題について取り組んでいた時に、労働者階級出身だった彼女はケンブリッジ大学で階級の違いを感じ孤独に苛まれていたという事を実体験として取り上げていた。

 

更にイギリスの場合、多文化共生社会になり古来英国の階級に加えて人種による違いも顕著になり多民族社会を形成し始めている。

 

そしてイギリスほどではないが徐々に均質化された社会だった日本も多様化が進み、様々な「差」が露呈するようになって来ている。

日本に生きていて実際自分は他者との格差を感じることが非常に多く、自分と違う階級の人との関係がほとんどと言っていいほど消滅している。

住む世界が違う、人間としての出来が違う、好きな物や趣味も違う、そういう人々に対して共感能力が欠如し始めてきている。

自分で人間関係の限界を決めてしまっているというか、どうせ自分とは違うと考えるようになって来ている。

 

例えば実社会においても既婚者と未婚者の間の壁というのは年々大きくなってきている。

そもそも日本人の大半が結婚する時代から、未婚社会、ソロ社会になり結婚という物がありふれたものではなくなった。

よくネットでも見かける意見が「同級生や友人が結婚したら話やライフスタイルのリズムが合わなくなり疎遠になった」とか、「ママ友同士でしかつるまなくなった」という類のものだ。昔は誰もが結婚していたが今では結婚すら民間人には縁遠いものになり、かつて当たり前に合った幸せからも取り残される層が増えている。

 

最近は学歴においても大卒と高卒が半々になり、社会格差の一つとなって来ている。

階級が固定され一度人生が決まると劇的な変化は得られない時代になっているため、人生に希望を感じられず冷めている層と情熱にあふれた層の意識の違いは顕著だ。

 

更にここに世代間格差も加えられ、世代が違う人同士の話題が全く異なり、ここにも分断化が発生している。

現実では多少の違いがあっても共有できることを見つけることは可能だが、ネットでは一部の情報しか見えないために少しでも違う人は自分と全く違うという感覚に陥る。

今のネットでよく見かけるのが「レッテル張り」だが、何かの違いを殊更に際立てようとする傾向は非常に強くなっており他者との違いを感じることが多くなってきている。

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例えば昔のネットは「負け組の溜まり場」や社会の吹き溜まりという雰囲気に満たされていたが、今のネットは凄い人が自分語りをしSNSのように「幸せ自慢大会」のような雰囲気になって来ている。

ネットの世界を知っているというだけで共感できた時代からネットの雰囲気自体が変わり、多様化し徐々に最下層の人間に居場所が無くなってきていると感じることが多い。

インターネット上ですら自分のリズムと合わない人の方が多数派になり、いよいよ底辺の人間はネット社会からも排斥される少数派になりつつある。

昔のネットというのはどれだけ自分が負け組で悲惨かというのを自虐する雰囲気があったが、今はなるべく自分を大きく見せようという時代になり、他者との差に苛まれる時代になって来ている。

 

特に今はSNSを身内間で利用することが普及し、タイムラインに同級生の進んだ状況が表示されたり、インスタグラムなどで楽しそうな状況が投稿されていたりするという時代だ。

かつては見えなかった「格差」というものが毎日のように突きつけられる時代になり、人々はその差に苛まれている。

 

差が突きつけられるからこそそこに反感が生まれ、「所詮住む世界が違う他人だ」という感覚になり差を容認できなくなる。

元々人間は同じような種類の人間に共感するようにできている。同じ民族で国家を作り国境を引くという考え方は近代になり完全に確立された。そして多文化共生社会が様々な軋轢を生み、階級社会化が深刻化してきている。

そこまで大袈裟なことではなくとも、自分と趣味や世代が合わない人とも話が合わなくなり、似た様な人間だけで集まり違うジャンルの人々とは一切かかわりが無いという「分断化」の時代が形成されている。

例えばスポーツが好きであっても観戦する競技が違うとむしろそこには非共感が生まれる。

 

未熟な人間というのは閉鎖された縦の繋がりしかなく、横の繋がりが無いという話を聞いたことがある。

横の繋がりというのはまさに自分と違う世界の人々との関係であり、自分と似ていない人との関係である。

サッカー選手の本田圭佑が「スポーツ選手はスポーツ選手としか絡まない。むしろスポーツ選手だからこそ会える他の世界の人と出会うべき」と語っていたが、一見共感できないように思える人々との関係をどう増やしていくかが人生を充実させることになる。

奇しくもサッカーというスポーツ自体、様々な人種や階級、国籍、プレースタイル、ポジションの選手が集まる世界であり、違う人が集まるからこそ良いチームを作れる競技だ。

全く違う11人が集まることで1つの素晴らしいチームが生まれる。

 

自分と似た人間とだけ群れるのは居心地が良く、自分と違う人間と理解し合うには手間がかかる。今の世の中は日本の中ですら少し自分と違う人を理解することが億劫になり、そのわずかな違いを強調する時代になって来ている。

 

しかしそれは理想で、独身は独身といたほうが居心地がよく、ママ友はママ友といたほうが何かと助け合い生活しやすいのが現実だ。

自分が持っていない物を持っている人との話は合わないというのは当然の事であり、逆持ってる人はそれを気遣うことに疲れてしまう。

いろんな人と理解し合うことは理想だが、結局根本的には理解し合えないのが現実なのだ。

 

人種や国籍はもちろんのこと、世代、職種、性別、学歴、階級、地域、趣味、性格、そのわずかな違いは、理想と裏腹に今も大きな違いでありなかなか共感することはできない。

そのように他者への理解力や共感力が年々自分は落ちてきている一人だ。可能性を狭めているのはまさに自分で、結局のところ恵まれない負け組だけでつるんでいるほうが居心地が良いという感覚になって来ている。

コミュニケーション能力も劣化して来ており自分と違う世界の人と話すこと自体がもう疲れるように感じる。

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かつての自分はまさにUpper classの上流階級になることに憧れていたが、今は人生の敗者の持たざる者と同じ空間にいることの方が居心地が良い。

銀の玉を出し入れする景品交換施設に行くと社会の吹き溜まりのような雰囲気がある。自分はそれをするわけではないが、世の中こういう人々が案外多いんだなと思うと安心感を覚える。

また今は行っていないがかつて派遣バイトをしていた時、そこにあった敗者の吹き溜まりのような雰囲気はとても居心地が良かった。

 

よくフェイスブックやインスタグラムの幸せ自慢大会に付いて行けずSNS疲れしているという人がいるが、みんながネットをしないといけない時代というのは実はかなり不幸な事だったのではないかと自分は考えている。

勝ち組になることが難しい格差と階級の時代に、ネットを見なければならない状況というのは無駄に疲れるだけでしかない。

かつてネットを見れば必ずしも成功者だとは言えない人が多く安心したが、今はむしろ逆になっており、現実にある地方の寂れた場末の競輪場やボートレース場のような場所のほうが安息の地なのかもしれない。

何かの支援施設や新興宗教の集会のようなところも自分と同族がいて落ち着くだろう。傷をなめ合うというわけではないが、慰め合える空間のほうが他者への寛容さが欠如し始めてきている今のネットよりは穏やかだ。

もしくは人間のいない自然への旅のようにあえて1人になることも良いだろう。

 

この格差社会はもう本当にどうしようもないのが現実だ。

かつて日本にも存在した身分社会はまた姿を変え復活し始めている。

江戸時代には士農工商という枠組みがあり、明治時代には華族制度が存在した。

戦後それらは廃止され今では部落問題もほとんど聞かなくなっているが、レッテル張りや性別叩き、学歴問題、収入格差などまた姿を変え新たな階級が形成され始めている。

格差社会というのはまさに現代における身分制度の事であり、結局人類というのは平等になれなかったことを意味している。

むしろ現代社会において他者との壁は大きくなり分断が進んでいるように思えてならない。

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