外国語は20代に入ってからでも十分に上達できる
日本人の間で根深い定説となっているのが、外国語は若いころに勉強していなければ習得できないという考え方だ。
確かに中学生が英検1級を軽々習得したりTOEICで好成績を収めているのを見ると、ある程度の才能が必要であり本格的に学習を開始した時期が早い人が有利だという現実を感じる事はある。
結局は言語も才能であり、実際自分は外国語を勉強していて日々伸び悩みと葛藤している。
むしろ大部分の時間において言語というのは分かりやすい進歩を実感できないのが当然であり、20代になり成人すれば脳に劇的な変化が起こることはありえない。
しかしだからと言って大人になってから外国語の勉強を諦める必要はない。
そう一部の例外の人と比べたところで、自分の現実は特に変わることは無い。他者との無駄な比較は必要なく、今更帰国子女やハーフ生まれ変われるわけではないのだ。
例えば日本代表でありつい最近までセリエAのインテルに所属していた長友佑都はイタリア語が堪能なことで知られる。
実際にこのようなインタビュー動画を見ても非常に流暢に話しており、現地にもファンが多く今イタリアでもっとも有名な日本人だと言っても過言ではない。
アモーレという言葉が代名詞になったように、「彼はもはやナポリ人であり南イタリアの人間」とさえ言われることがある。
ところでこの長友佑都がイタリアでサッカーをし始めた年齢は決して若くは無い。
森本貴幸のように10代の頃からセリエAでプレーしていわけではなく、イタリアで最初の所属クラブとなるチェゼーナに移籍したのは23歳ぐらいの時の話だ。
そこからインテルの選手に上り詰めていくことになるのだが、イタリア挑戦自体はそれほど早いわけではなかった。
更にセリエA移籍以前は特別外国語を勉強していたわけでもなく、そこまで頭の良いキャラクターでもなかった。明治大学への入学も推薦でありエリートというわけではない。
そんな長友佑都が武器にしているのはただ一つ「コミュニケーション能力」だ。
今シーズンからトルコのガラタサライというチームに移籍することになったのだが、彼は30代に入った今「このチームには様々な国籍の選手がいて、5つ以上の言語が飛び交う。だけどコミュニケーションを取ることが楽しくてたまらない」とむしろ今も前向きになっている。
長友のイタリア語習得が凄いところはまず10代ではなく20代前半になってから開始して習得出来たことであり、更に通常義務教育では習う事がない第二外国語だというところに真の凄さがある。
そして彼はそれまでイタリアで生活したことが無かったし、特別セリエAへの移籍を目標にしていたわけではない。
また同じくサッカーでブラジルに挑戦したキングカズこと三浦知良もポルトガル語は現地に行ってから覚えており、未だにネイマールと通訳なしで会話するほどの外国語能力を兼ね備えている。
本田圭佑もオランダ時代に英語を学び始め、最近では30歳に入ってから移籍したメキシコリーグで積極的にスペイン語を学び始めている。本田も長友積極的にチームメイトとコミュニケーションを取り、更には外国語でツイートしている、それが上達の理由の一つだとも言える。
チームに初合流。
— Yuto Nagatomo | 長友佑都 (@YutoNagatomo5) 2018年2月2日
みんな暖かく迎えてくれて、最高の雰囲気でした!
練習も楽しかったなー。
チーム内は英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、トルコ語など飛び交っていて勉強になるし、コミュニケーションとるの楽しすぎる👍✨ pic.twitter.com/h5aUID4wRq
結局全てはモチベーションとやる気の問題であり、年齢というものはそれほど関係が無い。
確かに関係あるがもう成人し二十歳を超えた以上、過去には戻れず後悔しても仕方がない。こぼれたミルクを嘆くよりは、コミュニケーションを取ることが楽しいと前向きに考え未だに学習熱が高い長友佑都や本田圭佑を見習う事の方が建設的だ。
更にこれは20代に限らず30代以上でも十分に可能なことだ。
20代と30代というのはそれほど脳の機能に関して大きな違いがあるわけでもなく、どちらも成長しきった脳という事には変わりはない。20代にできるならばそれは30代以上にも出来るわけであり、年齢で自分の限界を決めつけるのは良くないのだ。
ネットを見渡せば30代、40代でも英語を熱心に勉強している人を多く見かけることができる。
20代ですら言語の世界では立派なベテランであり、日々伸び悩みの中で地道に勉強するしかないしそういう人の方が実際には多数派だ。
伸び悩んでいるときは諦めずに、「すぐには伸びないし成長を簡単には実感できないのが外国語だ」と言い聞かせて地道に勉強するおじさんに徹することが大事だ。
語学は確かに才能だが、逆に言えば才能が無い人の方が多い。
某予備校のコマーシャルで「英語なんて言葉なんだから誰でもできる」というキャッチフレーズがあるが、難しく考えすぎないことも時には必要となる。
二十歳を超えれば後は誰もが地道に勉強するおじさん、おばさんになるわけであり、自分のペースでゆっくり着実に勉強していくことが続ける秘訣だ。
そこまで急ぎ過ぎなくてもいい、そんな急に上達する物でもなく、わかりにくい進歩の積み重ねを集めていき伸びない日々と向き合うことが大人になってからの真の外国語の勉強法だと言えるだろう。