負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

日常アニメとクイズ番組が量産されるのは同じ構図

ここ最近話題になっているアニメと言えば『ゆるキャン』だが、正直自分としてはまた日常アニメかと冷めた気分にしかなれない。

けものフレンズの次もまた、こういった日常の癒しが求められるアニメで、もう散々こういう日常物や部活物が流行る現象にいい加減飽き飽きしている。

 

今の時代はこういうのが見やすいのだろうし、もうアニメの世界をコアに追及する濃いアニメファンは減っているんだろうなとしか思わない。ただ単に定型文で同じことを語って、流行りのアニメを追いかけて一体感(笑)を味わうだけの浅いタイプのオタクしかいなくなってしまったなぁと、アニメ自体を見限っている自分がいる。

真剣にアニメを見て、深く考察して語る事より、日常アニメを見て定型文で実況して同じ空間にいるという共有意識を満たすことが今のアニメファンの目的になりつつある。

 

そもそももう男性主体のコンテンツ自体がオワコンというか、日本人男性が精神的にも体力的にも疲れ切って、購買意欲もなければ情熱も無い。日本人男性自体がオワコンと言っても良いだろうし、自分自身がその一人だ。

けものフレンズに影響されて動物園に行く人や、ゆるキャンに影響されてキャンプに行く人はまだ行動力があり、それで経済が動いているのならば批判はできないが実際に行動に移したファンがどれほどいるのだろうか。

 

数年前『ばくおん!!』がブームになった時はバイクに乗り始めるオタクが増えたと言うが、今の時代のアニメは空想の世界で大きなことをやるよりも、いかに現実の行動に移すかが重要視されているように思う。

アニメの中も現実が大事であり、今日日壮大な冒険のようなものは求められなくなっている。

かつて世間の流行を批判し、流行に逆らっていたオタクが今は一番流行を重視していてアニメもそのシーズン流行っている作品に飛び付き、終われば去っていくと言うことが多い。

 

ネット全体が一つのアニメに盛り上がる時代は終わり、ネットにオタクでない人、俗にいう一般人が増えて、アニメ離れしたオタクも増えて大規模に何かできるという時代でもないのかもしれない。昔はもう少しアニメの流行が細分化したように思えたが、今は本当に一つのアニメしか流行らないし、その規模もかつて程ではなくなっている。

Mステのオリコンランキングをアニメのキャラソンで埋め尽くすような体力や人口はもう存在しないのだろう。

 

「そのシーズンのアニメは数作品チェックしていて当たり前」という古典的なファンは減り、手軽に見れる日常アニメやバーチャルユーチューバーになった。

もうオタクですらアニメの世界に夢を見ていないし、日常の癒ししか求めなくなっている。現実的に社会人にそれほどの時間は存在しないのだ。

それだけ日本人がもう疲れ切っているのだろうし、特に男性の疲弊具合は凄まじい。

アニメに限らず男性主体の物はどこも予算不足と過疎化に苦しんでいて、華やかさに欠けた小さなものしか作られない。

逆に女性主体のコンテンツは、どこも盛況としていて活気にあふれている。

今の時代元気なのは女性で、購買意欲も情熱も存在する。

資本主義の世の中が「女性限定」「女性歓迎」に向かうのは仕方がないだろう、なぜなら男性の情熱が寂れているからだ。自分で言うのもなんだが今の時代一番元気があるはずの若い男性層が一番元気がないだろう。

世の中の構造や傾向的に、男性好みのものがどんどん寂れていく現実は仕方がないのかもしれない。

 

似た様な事で言えば最近番組のスタジオで収録されるようなクイズ番組や情報番組が多いことも、日常アニメが量産される構図と似ている。

つまるところ低予算で作られるものが今の時代は重視されているというか、それしかできない時代になっている。予算を考えず大きなことをやれた時代はテレビがマスメディアの中で一強で好き放題できたからだ。

今の時代芸能界はそれほど華やかではないし、他にいくらでもメディアが存在する。

アニメもそのテレビ番組の一つであり、低予算化の時代に向かいつつある。

 

有名なバラエティ番組もどんどん終了しているし、大規模な音楽番組も今やミュージックステーションがあるくらいで、それすら今やアニメファンとアイドルファンという固定客の物になっている。

平均的にいろいろな物に興味があり流行を追いかける一般人や大衆という概念が希薄になり、誰しもが何らかのコンテンツの居住者になるタコツボ化現象はもう既に数十年前に言われていたことであり、今はそれが行き着くところまで来たのかもしれない。

 

その結果漠然と一般大衆が見るバラエティ番組音楽番組は需要が無くなり、アニメも何かのジャンルに特化したものが増えている。

震災以降日本人希望が無くなり、情熱は冷め、未来は明るくなっていくという浮かれモードのような物は無くなった。

だからこそ外国人の日本を褒めさせることで自信を一時的に取り戻す番組や、日常と現実の疲労を癒すことを重視するアニメが増えている。

 

何かのジャンルに特化し、それと日常性と融合させる類の作品はここ最近更に急増している。

前述の『ばくおん!!』に加えて、例えば『ガールズ&パンツァー』は一体誰が戦車道をテーマにしたアニメを見るのかと戦車ファンの自分ですら疑問視していたが、近年のミリタリーアニメの中で最も流行った部類に入る。艦これのアニメ版よりはるかにヒットし、戦車ファン以外にも人気が広がった。

実際の戦争が起きるような時代ではなく、これからは空想の世界でも競技としての戦いが求められるようになるのではないか。おそらく現実の戦車戦を描いたアニメはヒットしないが、戦車道という独自の競技をテーマにしたらこれだけ流行ることに成功した。

 

災害が起きなければよかったということを暗に描き、ハッピーエンドを重視した『君の名は。』が流行ったように今の日本人は現実をもう嫌なほど体感しているからこそ、その現実の疲れを癒してくれるようなものを探し求めているのかもしれない。

夢見ていた世界が訪れず、社会人として日々過酷な現実に向き合っている時に壮大な夢物語を見ても共感はしないだろうし、そもそもそれだけの物を見る時間や余裕など存在しない。

大人がアニメを見るという習慣自体がそもそもここ最近根付いた事であり、それをインターネットで共有するという事も今世紀に入ってから広く普及した。

そういった今の日本の世相、そして日本人の精神状態を日常アニメは反映しているのではないだろうか。

note.mu

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