負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

チェスを高度に学ぶには英語が必須

世間の将棋ブームに対する逆張りで今チェスを学びたいと思うのならば、日本語で得られる情報だけでは厳しいと言わざるを得ない。

自分がリアル中二病時代にチェスをやっていた頃はまず最初「ギコチェス」から始めて基本を覚え、その他いくつかのフリーソフトと対戦して勝てるようになってからヤフーチェスに入り浸るようになる。

ただ当時でさえヤフーチェスは過疎状態にあり、現在では廃止されている。

その結果自分はいくつかの海外のオンライン対戦サイトに居場所を求め、対戦相手の殆どが外国人だったことを覚えている。

典型的なコーヒーを飲みながらチェスをして自分の世界観に酔いしれるという中二病行為をやっていたのが昔の自分だ。

 

その時に比べて今が有利なのはスマートフォンのアプリで結構チェスソフトがあるという事だ。自分もスマホにインストールして、数回したことがあるが非常に軽くて良いゲームだ。

ソシャゲやるぐらいならチェスアプリをした方がいいんじゃないかなというぐらいに種類があって驚いた。

チェスや将棋、囲碁の良いところはスペックが低いPCや携帯でもできる事であり、通勤や通学の間にやることもお勧めだろう。将棋で言うところの詰将棋にあたる「チェスプロブレム」というのも一つずつクリアしていくのは謎解き感覚で面白く、特に子供や学生には脳の成長を促すため良いゲームだと言える。

 

また日本は将棋ブームだが、全くチェスへの環境が整ってないわけではなくネットを探せば戦術を解説しているところはある。

自分が学んだサイトもおそらくまだ現役で、実際ギコチェスも未だに現役だ。

そしてアプリも豊富で、良い時代になったことは間違いない。

将棋のように日本人同士で対戦するという事は難しいが、逆に言えば外国人と対戦できるというところも魅力である。

将棋の対戦サイトで国旗が表示されるところがあるが、ほとんど日本人ばかりであまり意味がない機能のように見えるが、自分が入り浸っていた「チェスコム」はいろんな国籍の人がいてワールドワイド感があった。

 

よく将棋のオンライン対戦はガチ化して中々勝てないと言われるが、チェスの世界は広いため外国人の初心者もかなり多く独学でも勝てたぐらいにレベルの低い人も多かった。

日本人のオンラインゲーマーにありがちなのが平均的にレベルが高く、弱い人はあまりやらないということだが、逆に外国人は上から下まで幅が広くものすごく弱い人も大勢いる傾向がある。天才的に強い人もいるが、ガチで初心者も恥ずかしがらずやっているというのが外国人ゲーマーの特徴だ。

日本人同士の将棋より、むしろ外国人相手のチェスほうが気軽に対戦できるというメリットはあるかもしれない。

自分がやっていた頃の話なので現在仕様が変わっているかもしれないが、国旗が表示されてフィリピン、インド、中国、フランス、ドイツなど様々な人と対戦したことを覚えている。

 

ただそういったアプリでちょこちょこやって、日本で販売されている日本語書籍か日本語サイトで学ぶだけではやはり限界がある。

そこで満足していたのがまさに自分の過去の過ちであり、今後悔することがあるのならばしっかり英語で学んでおけばよかったかなということだ。

仮に今中学生、高校生がチェスを始めたいというのであれば英語の勉強も兼ねて海外のサイトで戦術や定石を学ぶというのがおすすめだ。

思考力と同時に英語力も鍛えられるため、勉強の無駄にもならないし好きなことで英語を勉強することが語学習得への近道でもある。

youtubeで「chess」と検索すれば、日本では放送されていないような番組もいくらでもあるし、将棋は興味はないけどチェスならやってみたいという人は海外の動画で雰囲気を味わうことも良いモチベーション維持方法になる。

 

将棋道場は本当にどこも満員らしく、この将棋ブームの最中にあえてチェスを始めるという人がいたらぜひ応援したいしもし世界的チェスプレイヤーが育てば非常に素晴らしい事でもある。

 

しかしチェスの世界は甘くない、正直に言えば将棋よりよほど競争が激しくプロ棋士を超えるレベルの頭脳が無ければ世界的チェスプレイヤーに離れないだろう。

残酷な現実として日本から世界的チェス選手が登場する可能性はほぼ皆無だろう。

ヒカル・ナカムラが日系人としてはランキング上位だが、テニスの錦織圭のように日本人が世界ランキング上位になる日は遠い未来の話だろう。そもそもグランドマスターにすらなった人がおらず、羽生善治ですらGMにはなれない世界なのだ。

チェス

将来的に日本がチェス強豪国になるのであれば、まず今の世代が徹底的に海外サイトや海外書籍で勉強してそれを翻訳して日本語として取り入れる事だろう。

明治時代の近代化の時に日本人は徹底的に海外の文献を翻訳し、自国の言語で高度な学術書に触れられるようにしたという翻訳文化がある。

海外のサイトで英語のついでに独学して、そこで学んだことをブログやサイトを解説して翻訳していくような人が現れれば次の世代はもっと早いうちから勉強を始めやすくなる。

 

更にその前段階の話で、チェスの知名度そのものが低すぎる上にチェスについて個人的に語る人が少なすぎるという問題もある。そもそも趣味について個人で語る人がかなり少なくなってきているというのはどのジャンルでも進んでいる、まとめサイトかSNSが最適解になっている現状はある。

 

将棋を見ていて思うのが、とにかくエンターテイメントとして将棋を語る人が多くまとめサイトなども充実していることで興味を持つきっかけが多いということだ。

仮にチェスのまとめサイトを作ったとしても、元となる2ちゃんねるにほとんどチェスについて考察したり話している人が少ないため更新ペースに書き込みが追い付かないだろう。そのコメント欄で更にファンが語るというコミュニティも成立しえないのも欠点だ。

 

個人ブログでもSNSや掲示板でもとにかく何気なくチェスについて語り始めることが最初の段階であり、今の日本のチェスはそのレベルにある。

もはや戦術書を翻訳して取り入れてサイトを解説して、日本での対戦環境を整えるというのはもっと先の話で、今はとにかくただファンを作り語る文化を醸成していくことからスタートしなければならない段階だ。

 

更に将棋の良いところは有名棋士が多くて、将棋のルールを知らなかったり実際にプレーしなかったりしたとしても棋士の話で盛り上がれるというところにある。

来日して羽生善治と対談したことでガルリ・カスパロフの知名度は上がったが、マグヌス・カールセンやトパロフ、アーナンド、クラムニクを知っている人がどれだけいるかは不透明だ。

更に歴史上の名手として「ボリス・スパスキーVSホビー・フィッシャー」の東西冷戦真っただ中の名勝負を知っている人も日本では少ない。

海外サッカー選手を応援する感覚で、ほとんど外国人選手が日本では大半になるだろう。

FIDEレーティングを見たところ、ヒカル・ナカムラはこの激戦区の中で10位と健闘しており、日本のメディアでもっと取り上げられても良いはずだ。

 

ただ外国人棋士について語るのもまだ先の段階だ。

今は駒のデザインや雰囲気がかっこいいからとかアニメやドラマで見てかっこいいと思ったからという動機から実際にルールを覚えてみようという人をどれだけ増やせるかに懸っている。

自分自身はチェスで非常に弱いが、一応ルールを覚えていると言うだけですでに日本人全体の中では上位層のチェスプレイヤーでもある。

モンハンを一度でもやったことがある人が一切やったことが無い人よりは上手いというレベルの話でしかないが、それでもまずチェスをやったことがあってルールを把握している人が少ない。

 

しかしこれはかつてアメリカも一緒で、ホビー・フィッシャーがチェスを始めたころはほとんど専門的な最先端のチェス書籍は英語で存在せず彼は独学でロシア語を学び始めたと語っている。

今は英語で十分書籍があり、英語さえ使えればネット上にいくらでも海外のサイトが存在する。

日本語の書籍を買うよりも、英語で独自に調べたほうがよほど高度な情報があるのも事実だ。

 

英語を使えるだけで得られる情報が数百倍に膨れ上がるが、日本人が日本語で日本のネットで得られる情報だけで十分楽しいためあまり英語を勉強しないという背景もある。日本人は本当に驚くほど自国のサイトしか見ない傾向があるが、これだけインターネットが発達した時代に外国語で調べないというのは少しもったいない。

自国の言語だけでこれだけコンテンツが充実しているというのはもちろん幸せな事でもあるが、そこに外国語で調べる習慣が加われば更にインターネットは面白くなる。

 

「アルファベットで検索する」という習慣だけでもあれば全然違ってくるため、チェスに関して調べるときは英語で調べることをお勧めしたい。

ホビー・フィッシャーがロシア語で最先端のチェスを学んだのと同じことを、いま日本人のチェスプレイヤーはしていかなければならないだろう。

明治時代の学者が英語やドイツ語、フランス語で西欧文明を取り入れたように、チェスの世界も積極的に英語やロシア語などで吸収していく必要がある。

 

そしてまず何より語る事や議論することが大事なのではないだろうか。チェスが好きなら簡単な事でもチェスについて語ってファン文化を盛り上げていくことが第一歩なのかなと自分は思う。

日本語で得られる情報が少ない、日本語でチェスについて語っている人も少ないというのが現状だ。

 

更に今チェスを始めようという動機がそもそも少なくなっている。

自分がチェスを始めようと思ったのがアニメの「コードギアス反逆のルルーシュ」という作品を見て、主人公のルルーシュがチェスをしていたから独自にルールを調べて覚えるようになった。

そして前述の「ギコチェス」を倒せるまでやってある程度実力をつけたという経緯がある。

今の時代に若い子がチェスを始めたいと思うようなアニメやドラマとかあるのかなという疑問はある。

 

「咲-saki-」で麻雀が流行った感覚でチェスアニメが作られれば少しはプレイヤーが増えるだろうか。ただ自分の場合咲やアカギを見て麻雀の雰囲気自体はかっこいいと思って一応覚えようとしたのだが、覚えることが多すぎて即座に挫折した立場だ。

競技物の作品を見て実際に競技を始める人というのは全体の数%にも満たないというのが現実だろう。「けいおん!」を見てギター買って今も楽器を続けている人が実際どれくらいいるのだろうか。

更に今の時代確実に若くて頭の良い子は藤井聡太に憧れて将棋の方に行っているわけでまさにチェス冬の時代でもある。

いずれにせよとにかく現状認識を限られたチェスファンの中だけでも共有することが本当の最初の一歩なのかもしれない。