負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

北朝鮮の核保有は極めて合理的な選択

6度目の核実験を断行し、もはや完全に核保有国として定着している北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)だが、彼らの対米政策は実は極めて合理的だと見ることができる。

 

「頭のおかしい独裁政権が暴走している」とみる見方は極めて短絡的で、北朝鮮はそれほど馬鹿な国ではない。北朝鮮をネタにする風潮があるが自分は「アメリカに負けなかった国」として評価している。

 

つまり北朝鮮は強固な反米路線を取りながらも結局一度もアメリカに負けたことが無い。

朝鮮戦争に置いては本土決戦を行ったがアメリカ軍を排除したし、冷戦終結後世界中の社会主義体制が崩壊していく中で生き残ることに成功した。

 

彼らのプロパガンダを擁護するわけでもなく朝鮮籍というわけでもないが「アメリカに負けない政策」を非常に独特な形で形成した。古典的な独裁国家や社会主義体制でありながら現在も存続できているというのは非常に希少なケースだ。

 

共産主義体制における世襲政治というのも非常にレアであり、「金王朝」と呼ばれるように同じ体制を探すことは不可能だという意味でガラパゴス化している。

真のガラパゴス国家はある意味北朝鮮であり、ここまで来ると逆に保護しても良いのではないかとさえ共産趣味の者としては考えている。

実は日本にとって完全に敵性国家というわけではなく、「緩衝地帯」と考えれば東アジアの平和に貢献しているともとれる。北朝鮮が東アジア諸国の注目を一身にになっているため決定的な対立には至らない。

 

歴史の見方というのは複雑で、条約を破棄し対日参戦を行ったソビエト連邦は紛れもなく未だに北方領土を不法占領している悪なのだが彼らにも実は功罪が存在する。

つまり米ソ冷戦のおかげで実は日本は再軍備を実現でき、なおかつ経済発展を果たすことができたし、本土決戦を避けて戦後復興の土壌を維持することもできた。

北方領土と樺太は生贄になったが間違いなくそれ以上のものは手に入れることができたという考え方もできる。

 

「領土を獲ったから悪い」とか「ミサイルを打つから悪い」とか、そういうヒステリックな物事の見方しかできない人が日本に増えてきているのが現状だ。

イギリスのような何枚も舌があるような国は、ある意味で捻くれた物事の見方ができる。

拉致問題はないと否定していた社会党や共産党のような左派でもなく、短絡的な見方で情緒的に北朝鮮を批判する右派でもない、そういう立場の人間があまりにも少なすぎる。

 

「アメリカに負けた国」の日本としては負けたほうが良いとも考えているし、アメリカに負けたことが無い北朝鮮の凄さも評価するべきだろう。

逆に韓国は「アメリカに助けられた国」でもあり高齢者には特に米軍に感謝する人が多いようだ。

 

朝鮮戦争において北朝鮮がアメリカを中心とした国連軍に負けなかったのは、中国からの義勇軍やソ連からの技術提供に助けられたからだ。

例えば北朝鮮が初期の侵攻において利用したT34や、ミグショックに代表されるMIG15、そして極秘裏に実戦投入されていた当時の最新鋭アサルトライフルAK47など朝鮮戦争は実は戦史的に見てみるべきものが多い。

第二次世界大戦後における新しい戦術のトレンドはこの戦争で作られており、世界初の本格的なジェット戦闘機同士による戦闘が行われた。第二次世界大戦末期にドイツ軍がジェット戦闘機の雛形を投入してはいるが、それらの発展型が朝鮮戦争では行われた。

 

日本に与えた影響としては戦争の特需景気であり、日本は実はタブーに切り込むならば「戦争のおかげで復活できた国」でもある。直接参戦していないだけで、戦後も間接的に戦争に加担してきた国であり、「戦後の日本は戦争をしていない」というのはただ単なる綺麗ごとに過ぎない。

 

似たようなケースで言えばベトナム戦争で北ベトナムが敗北しなかった理由も、立地が重要だったからでありロシアや中国と陸続きの共産主義国家は負けないという実例のモデルケースになったともいえる。

戦争というのは攻める方が難しく、なおかつ民主主義国家は戦争を継続しにくいという特性がある。

 

日本人が抱きがちな誤解として「北朝鮮はアメリカと協調して韓国の援助を受けたほうが発展できるのではないか」という物がある。

現状北朝鮮は中国と協力できており、なおかつ朝鮮労働党高官クラスは民主主義の波が押し寄せると確実に特権を失ってしまうため発展などこれ以上望んでいない。

また脱北し韓国社会に溶け込もうとした人がことごとく社会の底辺であえいでいるため、北朝鮮で一定の権力を持っている層は時代遅れであっても現状の金王朝体制を維持したいという人が圧倒的多数派だ。

 

更にこれは自分の俗説でしかないのだが、「アジア人は体制に順応的」という説を唱えている。

ハンガリー動乱やプラハの春、チャウシェスク政権の崩壊のように一定の自発的ムーブメントが東側の体制では起こり総本山のソビエト連邦も崩壊するが天安門事件はそれほどの規模にならず結局中国は現在も共産党一定独裁が続いており北朝鮮も労働党が支配している。

改革開放路線であり実質的に市場経済を導入しているベトナムも含め、共産党幹部が民衆に最終的に首を取られるという状況まで進まなかったというのはアジアの民衆が比較的、西洋人の衝動に比べて大人しいからなのではないか。

ソ連の構成国だったカザフスタンは、ソ連時代からの大統領が今も現役であり北朝鮮が崩壊しない最大の理由は実は彼らが大人しいからだともいえる。

どんな恐怖政治であっても崩壊する時は崩壊するが、北朝鮮が崩壊しない理由は実は朝鮮民族の気質にまで及ぶ問題なのではないか。

 

日本も戦争をしていなければ大日本帝国は崩壊していないわけであり、朝鮮の独立運動も実は彼らが美化するほどではなく溶け込んでいる人の方が多かった。

自力で独立したわけではなく、これは台湾人についてもあてはまる。

 

その意味で朝鮮労働党の政治システムはアジア民族だから通用するやり方でもあり、東欧や中南米、アフリカで同じことをやっていたら今ごろ既に崩壊しているだろう。

社会主義がアジアで独特な変容を遂げたと言われるが、とりわけ北朝鮮についてそれは顕著な傾向にある。

通常の論理では北朝鮮が核兵器を持つ事は整合性が少ないが、「社会主義のガラパゴス」である北朝鮮に置いては合理的な選択だと言えるだろう。