渡辺麻友卒業発表について元ファンとして思う事
先日の第9回総選挙で渡辺麻友が卒業発表を宣言した。とあるメンバーの結婚発表の陰に埋もれる形になったが、渡辺麻友の卒業発表もまた重大事である。
AKB3期生からこのグループを支えてきた渡辺麻友が去ることの意味は非常に大きい。
今熱心に渡辺麻友を応援しているわけではないが、応援していた時期もある"元ファン"としては「いよいよ時代が変わろうとしている」と思わずにはいられない。
卒業発表の後はAKBが完全に変わろうとしていることを感じ、時代に終わりも感じ少しだけ空虚な感情が訪れた。
これまでAKBメンバーの卒業は自分にとって他人事であり、有名なメンバーが卒業して行ってもそれほど関心はなかった。せいぜい最初に前田敦子が卒業発表をしたとき驚いたぐらいでその後は毎年恒例のようにメンバーが卒業することに慣れて行った。
しかし今回の渡辺麻友は違う。
正直な話もう少し先のことになるとも思っていたし心の準備ができていなかったという思いはある。今回の選抜総選挙への出場が最後だというだけで卒業とまでは行かないと思っていたし、まさか数年前から卒業を考えていたとも思わなかった。
ツインテールをやめて女優業を始めたあたりからもう卒業の事は現実的に考えていたのだろう。いずれにせよもう卒業は決まったことで渡辺麻友の性格上この発言を撤回することは無いだろう。
そして今回の総選挙、渡辺麻友はまたも"シルバーコレクター"として2位に終わってしまった。指原VS渡辺の何度となく見た決選はレアル・マドリード対アトレティコ・マドリードを彷彿とさせる。何度も見たその決勝は結局レアル・マドリードが勝ってしまうように、今回の総選挙もまた指原莉乃がいつものように勝って三連覇を成し遂げて終わった。
しかしむしろ渡辺麻友はあの強大な指原と最後まで争うことができたわけであり、今回も2位をキープすることができた。また1位と無縁だったわけではなく一回は栄冠を勝ち取っている。
「2位じゃダメなんですか」という言葉があるが、今回ばかりはその言葉が正しく聞こえる。むしろ最後の総選挙で指原と決選を演じられたこと自体が素晴らしく、このラストで3位や4位に終わらなくてよかったと思う。指原というアイドルでありながら芸能タレントとして勝負して"別競技"を行っているメンバーに勝てなかっただけであり、アイドルとしては実質1位だと言えるかもしれない。
そして皮肉なことにその渡辺麻友の"元ファン"の自分が今応援しているのはその指原莉乃なのである。やはり指原にあって渡辺にないものはそのトーク力や面白さ、そしてアイドルファンの身内以外でも話題になる能力だろう。
正直な話まゆゆこと渡辺麻友には「アイドルとしての能力」しかない。
アイドルとしては紛れもなく天才だが、まさにアイドルになるために生まれてきた存在でありそれ以外の才能には乏しい。
本格的に女優業を目指そうとしているようだが少しその分野については心配な部分がある。すでにAKB卒業メンバーが何人も女優志望を掲げこの業界に旅立っているが成功したケースは多くない。
更に渡部麻友の場合AKB在籍時に主演で女優業をしているにもかかわらず結果を出せていない。「AKB48」という肩書がなくなったとき果たして「渡辺麻友」という個人に女優業の需要があるかはわからない。AKB48ファンやアイドルファンはAKB48という肩書があるから好きなわけであり、その肩書きがなくなれば興味を無くし新しいアイドルのほうへと興味がうつっていく。
これまで渡辺麻友を応援していた人々は渡辺麻友個人よりも「アイドル」をやる渡辺麻友が好きだったわけであり、卒業後女優を続ける渡辺麻友を応援するかどうかは不透明である。
AKB48在籍時は絶大な支持を集めているように見えても卒業後波が引いていくようにファンが去っていくケースはこれまでのメンバー卒業でも散見されたことだ。AKBファンは「AKBアイドル」という存在が好きなのであり実は個人のことがそこまで好きではないのである。
握手会に行き大量に票を投じる人は熱心に応援しているが、いわゆるお茶の間層や在宅ファンは簡単にその興味の対象を変えていく。まさに自分が渡辺麻友から指原莉乃へと"推し変"したように、この業界にはいくらでも変わりがいるのである。
そう考えたとき残念ながら渡辺麻友の将来に明るい展望を見出すことは難しい。
少なくとも女優業はAKBという肩書があって主演を二作務めたにもかかわらずブレイクしておらず女優としての需要は多くないのが現状だ。
しかし、こういった悲観的な意見を持つ人々の手のひらを変えさせることは"負けず嫌いな"渡辺麻友が目指していることかもしれない。
転んでもただでは起き上がらないのが渡辺麻友である。
壮大に手のひら返しをさせてくれることを期待したいし、その時は「女優で通用せず卒業後消えると言って申し訳ありませんでした」と心の底から謝罪したい。