負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

お酒の自動販売機って最近減少しつつあるよな

自動販売機の酒類販売というのはまだ場所によっては現存している。

実は自分の家の近くにもお酒の自動販売があり、コンビニさえ遠い田舎在住の人間としてよく愛用している。その地域だけで販売されているローカルな地酒のカップ焼酎も販売しており、これも地域経済だと思って自分は良く購入している。

欲を言えば度数の強い酎ハイ類を完備してくれればよいが売っている酒類は限られている。缶ビールではなぜか二つの商品が混同されており、どちらが出てくるかはランダムになっている。

酎ハイやワインが欲しければまだお酒を飲んでいない段階に自動車でコンビニに走らなければならず、お酒が切れたときは徒歩でこの哀愁を感じさせる旧世代の自動販売に走っている。

田舎に住むと現実的に夜にお酒を飲もうと思ったら普段から買いためておくか、近くの自販機に頼るしかない。当然ながらその時間にはすでに飲んでいるため車で買いに行くこともできない。

 

自分が子供のころはまだ酒類を販売する自動販売機は大手を振って人目に付きやすい場所でも見かけたが、最近は寂れた場所に「左遷」されつつあるのがこういった酒自動販売機だろう。現在自分が住んでいるのは酒類に寛容な地方だが、都会に住んでいた時は一度も見かけることがなかった。都道府県や地域によっては全廃されている程ほどは規制が厳しくなっている。

この田舎の自動販売機ですら元々あったメインストリートではなくより寂れた場所へと移されている。顔見知りの店員さんが「お使い」ならばと子供頃の自分にお酒を売ってくれていた時代はもうセピア色のアルバムの中に眠っている。

 

むしろ地方に帰ってきたとき最初は本当にこの自販機が起動しているのかすら懐疑的であり、「明かりだけついていてもうお酒などは言っていないのだろう」と思っていたところから実際に買うことができたときは感動したものである。数年都会に住んでいたためもはやお酒の自動販売機など全滅しているとさえ思っていた。

地域によってはそれほど見かけない物であり、この現代にお酒が自動販売機で買えるはずもないとさえ思ってしまう程レアなものになっている。

このボロボロの旧世代の自動販売機が本当に稼働しているかは最初疑問だったが、現役で稼働しており今では毎日のようにそこで購入している。

自分はお酒を買い貯めて常備しておくとついつい飲みすぎてしまうため、なるべく買い置きしていないようにしているのだが結局はその自販機に走ってしまう。田舎の場合コンビニでさえ遠く、近くの商店も夕方にはしまってしまう為現実的に夜にお酒を購入しようと思ったら自販機しかないのが現実なのである。

 

世の中が「健全化」に向かう時代にこういった自販機は貴重であり今後も縮小していくであろう。自動販売機でお酒を買うということ自体がもはや現代では信じられない時代になっていっている。何もかも規制を推進し健全な物だけが推奨される現代が本当に正しい方向に向かっているかどうかはわからない。

こういった「健全化ファシズムの時代にお酒の自動販売機はもはや絶滅危惧種であり地方にしか現存していない。大阪の西条区やあいりん地区には残っているらしいが基本的に人目に付く場所からは隔離され始めている。今世の中は他人に厳しい時代になってきており、少しでも悪い物を全力で排除しようという傾向にある。こういった「魔女狩り」によってお酒の自動販売機もいつまで持つかわからないだろう。だんだんと面白い文化が、「健全化」を推進するクレーマーによって排除されていく時代が到来しようとしている。

 

芸能人もスキャンダルが起きればすぐにスポンサーにクレームが入れられその番組を降板させられる。「子供に見せられる健全な物」という大義名分があれば少しでも悪い物は簡単に排除できるのが現代である。

現状日本はお酒が好きな人が多く酒蔵メーカーも多いため、まだ酒類に関しては安泰だが、いずれはイスラム圏のように健全化を求める人々によって厳しい規制が課せられる時代が来るかもしれない。

今世の中で最も声が大きいのは「規制」「健全化」が好きな人々である。

何も悪いことはしない、そういう人々が済みやすい世の中になっている。良い事と言えば良いことなのだが、何かを遵守することだけが持てはやされるようになると当たり障りのない無難なトゲのないことしか生まれなくなるだろう。現にクレーマーに怯えたテレビは当たり障りのない事やクレームが入りにくい事しかしなくなり順調につまらなくなっている。深夜の全く車の通らない横断歩道でさえ信号待ちをしなければ厳しく糾弾されるディストピア管理社会が訪れようとしている。少しの違反や問題さえ許せない潔癖主義の時代がやってくるだろう

 

いずれこの田舎の寂れた自動販売機も引退させされ、日本から全滅させられるかもしれない。自分の人生の上手くいかない時期を支えてくれたこの寂れた自動販売機もいずれ過去のものとなり「ここに昔自動販売機があったんだよな」と懐古する日々がやってくるだろう。

この活気のない地方で唯一夜も稼働していた小さな酒販売所も歴史の遺物として消えていくに違いない。

 

こういった酒類自動販売機の面白いところが「夜の11時から朝の5時までは販売禁止」になっているところであり、こういった規制は海外と似ている部分がある。」実は日本で当たり前に24時間コンビニでお酒を買うことができるのは世界的に珍しく、海外では深夜のアルコール類販売を禁止しているところが多い。

こんな深夜に誰も出歩いていない田舎では治安の事を気にする必要もなく、お酒を飲んで夜中に暴れ出す元気のいい若者などいないが、海外ではアルコールが入ったことで問題を超す人々がまだ深刻な問題なのだろう。

 

まだこの自動販売機を作った時期はこの田舎にもお酒で騒ぐような若い世代がいたのかもしれないが、そんな規制さえ無意味なほどに今この地方は寂れている。おそらくこの町で夜中にお酒を自動販売機で買っているのは自分ぐらいであろう。

酒類自動販売機自体が世の中から排除され、かろうじて残っている地方にはもはやお酒で騒ぐ人すらいない。

そんな寂れた小さな町で今日も自分はコインを投じてお酒を買った。またきっと明日も買うだろう、何もないこの町の夜には寂れた自販機でさえ心の友人なのだから。

「君はいつまで僕にお酒を売ってくれるんだろうね」と心の中で呟きながらこの古い自動販売機に通い続ける。そんな日々がいつまで持つかはきっと神のみぞ知ることなのだろう。

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