負け組ゆとりの語り場

社会に取り残された男が日々を語る

底辺薄給派遣バイトでその日暮らししてる奴www

自分はかつて派遣バイトをしていたことがある。それまでバイトをしたことがなかったため、職場に合うかどうか不安でとりあえず「短期バイト」「単純作業」を条件としてアルバイトを探すことにした。

1日単位で出勤でき辞めたかったらすぐ辞められるようなバイトはてっとり早く小遣いやその日暮らしの生活費を足すにはもってこいだったのだ。

 

そしてこういうバイトはたいてい派遣バイトに行き着く。

まずは派遣会社に登録するのだが、面接も形式的なもので中にはネットで写真を送るだけで採用される場所もあった。「履歴書不要」「日払いOK」「短期」「1日限定」など求人サイトでは様々な条件で選べる。

その中で自分はこれまでバイト経験がなかったためほとんど誰とも話さずに単純作業をするだけの仕事を選んだ。

ただひたすらにシールを貼ったり、流れ作業で物を詰めたり、畳まれた段ボール箱にしたりスーパーに並べるための野菜を仕分けたり、とにかく誰にでもできるバイトだ。

 

そしてこういう単純作業というのは実質ロボットの代わりを求めており、とにかく休む暇がなく黙々と8時間きっちり動きつづけなければならない。後に他の種類のバイトも行うのだがこれらは忙しいときは忙しいが暇なときは暇な時があったり作業内容が多様だったりするため最低限のメリハリがある。

 

しかし同じことを立ちっぱなしで8時間もやるというのはただひたすら気が遠くなり、この時ほど8時間が長く感じるものもなかった。中には単純作業、軽作業という物の中々に重労働の物もあり筋肉痛が3日続いた物もある。

またほぼ立ちっぱなしのために膝が痛み、立ち仕事は体の消耗との戦いでいつまでもできないなということを痛感させられた。最初の内は何かを考えながら作業をするのだが、後半になるともはや思考能力も衰え何も考えずただひたすら長い時間が終わるのを待つだけになる。死んだ顔でこういった派遣職場に通っていた。

 

またこの手の仕事は実質社会の吹き溜まりのような場所である。

社会の実態や底辺という物を見ることができる。

すし詰めにされた狭い休憩室では大半の派遣社員が喫煙者であり、まるで死んだような顔ですぐに一服し始めるのだ。我ながら「下には下がいる」と思ったものである。しかしこういった職場に長くいると喫煙しなければやっていけないのであろう、自分もバイトが切り上がった後はすぐに近くのコンビニにより貯金など考えずにお酒と軽食を買い疲れを癒したものである。

 

ここにやってくる労働者の種類は様々で、ずっとこの職場でやっているような中年の男女から一時的なお小遣い稼ぎのためにやってくる大学生などが多かった。

中には既に週5日フルタイムで働いているにもかかわらず、子供が医学部を目指しているため自分のお小遣いがなく土曜日だけやってくるというお父さんもいた。彼に関してはむしろ尊敬の念を覚えたものだ。また主婦層が家計の助けにするために週2,3日来ているというパターンも多かった。

中には高校を中退した子がお小遣い稼ぎにやってくるパターンもあり、ある意味社会の縮図でもある。

底辺薄給といえどもやはり自分のペースでバイトに足を運べて最低限のお金を作るには有益な手段でもある。

そういう意味でむしろ同じ派遣社員の立場にある人は親近感が持てることが多く、自分自身も大した立場ではなくその「社会の吹き溜まり」の一員にすぎないことは自覚しながら働いていた。

 

しかし問題なのはこの手の派遣職場の上司や正社員である。

正直彼らの質は低いと言わざるを得ない。彼らはいわばその職場に居ついており、もう何年もそこでやっており、これからもその職場でやっていくような先行きの見えない立場だ。

同じ作業内容であっても多少給料はいいが派遣の時給とそこまで劇的には変わらない。いい年をした社員が月収20万に満たずこれからもほとんど収入の上昇は期待できない中で何年も同じ仕事を繰り返す。

 

その気が遠くなる現実の中に彼らはおり、あくまで一時しのぎで派遣され週2,3日のシフトで、辞めたい時はすぐにやめれるバイトと違う。

そう大した浮上の見込みもなく毎日同じ作業をやり続け、先行きが見えない中で派遣バイトと同じことをやる生活に彼らは嫌気がさしている。

介護業界なども上司はかなり悪質だと聞くが、単純作業の派遣バイトでもやはり悪質であり、こういった底辺職場に居ついている人間は人間性まで腐ってしまうという人が多かった。

まさに底辺の中でのヒエラルキーであり、その底辺の中ですら末端の存在になる自分が虚しくも感じるのがこういう派遣の単純作業バイトである。社会一般であれば負け組の上司に、まるでロボットのようにこき使われ偉そうにされ「その負け組にこき使われるのが自分なんだな」と自分の小ささを認識せずにはいられない。

何の特技もなく誰でもできることをやるしかない人間に待ち受けているのはこういう最底辺の世界である、そのことを自分は認識した。

 

日本の労働文化自体「仕事は神聖なものである」という認識が強く、薄給であるにもかかわらず真面目さや態度だけは過度に求められる傾向がある。

所詮安い人件費で呼び寄せる派遣労働者など大したものではないということがわからず、プロとしての高い意識が求められるのだ。

 

ただそもそも日本のバイト環境などどこも酷い物である。

近所のコンビニでも業務中に上司に怒鳴られていた若いバイトがいたが、一度社会から落ちぶれた人間というのはこういう薄給のしょぼい環境でこき使われなければならないのである。

似たような短期バイトの求人などでも「どちらかというとテキパキ系の職場です」と書いているのを見かけたが、要するにこれは「薄給だが文句言わず馬車馬のように働く奴隷さん来てください」という事なのである。

一度人生に失敗し社会から落ちぶれればこんな職場しか残っていない、そして誰もがフリーターの自分にしがみついていく。

 

またそもそも日本の労働文化や日本人の仕事に対する価値観もこういった劣悪な環境を促進している部分がある。

日本人の多くが仕事を神聖な行為だと考えており、「社会人」という肩書をスーテタスであるかのように考えている。仕事は我慢してキツいことをやることが美しい美徳であると考えているため、劣悪な職場が生まれやすく改善されにくい。

 

海外のホワイト企業や日本の一部の上流企業では職場の環境が改善され、生産性を向上させるための工夫が導入され始めているが現実的には日本の多くの職場が前時代の形で停滞している。

本来はホワイト企業で見られるような姿がどのような職場でも当たり前のことになっていかなければならないが、未だにサービス残業という時代遅れの風習が残っている美しい仕事の国が日本だ。

先進国の仕事に対する考え方:楽しむことで生産性は向上する、無理は良くない

日本人の仕事に対する考え方:苦労して自分を捧げて我慢して戦い抜くことが美徳

 

教育に対する価値観は徐々に現代化されつつあるが、職場は依然として旧世代の考え方が根付いている。そのため新しい世代は教育された価値観と実際の職場の価値観とのギャップに苦しむことになる。

教育は平成になったのに仕事は依然として昭和、それが日本の現実的な姿だ。

「仕事は神聖な物であり根性と我慢で乗り切り、一人前の社会人になるべき」という精神論が未だに根強い。また旧世代は自分もそうされたのでその価値観を下の世代に強要する傾向にある。

こういった姿を見ていると日本が時代遅れの国になっていくことはもはや必然だと言えるだろう。

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