トランプは今回結局北朝鮮を攻撃するのだろうか?
和解したと思ったらまた北朝鮮が核実験をやったとから再び攻撃するのではないかと情報が錯綜している米朝情勢だが一体どのような結末を迎えるだろうか。
まず大前提としてアメリカ政府は北朝鮮軍の核施設は場所の特定ができていない。山間部の奥深くにあり衛星だけでは発見できていないようだ。ただ米軍としてもわざわざ核施設の本丸を攻撃しようとは思っておらず、核を発射する施設、すなわちミサイル基地をターゲットにしている。核施設への攻撃は被害が甚大になるためミサイル基地を叩けば身動きができないという見通しだ。
核を作ったところでミサイルで発射できなければ意味がない。
爆撃機で直接核兵器を持っていくというのは第二次世界大戦の頃の話であり北朝鮮にはその空軍戦力がないためミサイル基地を叩くいことに成功すればいくら核兵器を持っていても意味がなくなる。
ミサイルという切り札がなくなれば北朝鮮も終わりでありミサイルにパラメータ全振りしてる国家戦略も破綻する。ミサイルと核兵器を武器にできなくなればあの国もようやく静かになるだろう。次に核実験をすればトランプはガチで攻撃しそうでありやるときはやるのがアメリカだ。
ただ日本としても中立でいられるのかという不安はある。
「中立だから大丈夫だよ」というシーンは戦争を題材とした作品でよく見かける光景だ。そして北朝鮮からすれば紛れもなくアメリカとの同盟国であり敵対勢力でもある。日本は北朝鮮に経済制裁を行っているため敵国とみなされる可能性はある。
人の庭に石を投げて挑発しているお隣さんがいれば何らかの対抗処置を取らなければならないが現在では「遺憾の意」の発動に留まっている。
しかし実際に有事になれば確実に被害を出さずに終えられる保証はない。
北朝鮮がどのようなミサイルを保有し、どの程度の性能か完全に把握できておらず、これまで明らかになっているミサイルであっても同時に何発も打って来たら迎撃は難しい。金正恩政権になってから北朝鮮は核実験を3回、ミサイルを70発以上発射している、かつて以上にミサイルに頼った軍事体制になっている。
これはサッカーで言うところの弱小チームが中盤を省略してロングボール戦術を取ることと似ている。現代戦や高度な軍備を省略してミサイルと核で強国に対抗するというのはある意味理にかなった戦略でありそれゆえに米国からの攻撃は今のところ防げているし、韓国軍の侵攻も抑えられ独立をたもつことができている。
西側諸国や韓国と友好関係を築き経済発展をすることもできるがいつのまにか吸収されてしまいかねないという危惧もあるだろう。それよりは共産党体制を維持して、幹部は共産貴族として居座りたい、それが社会主義国の典型的なパターンである。
そしてそのミサイル装備は格段の性能が向上しており今やICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発にまで成功しているとさえ言われている。北極星2型は固定燃料方式でありICBMである可能性が指摘されている。簡単に言えばテポドンより凄いのができたわけであり10年でミサイル技術も進歩するのだろう。戦車や軍艦、戦闘機をまともに開発しても到底アメリカどころか韓国にも追いつかない現実があり、中露も昔ほど支援してくれない。
その状況で独自にミサイルに特化した軍事戦略を行うのは今後弱小の独裁国家のトレンドになるかもしれない。
現に北朝鮮は海外にミサイルの輸出を行っておりある程度利益を上げているようである。その宣伝のためにもミサイルを発射して性能を示しているのではないだろうか。
また旧世代のミサイルは老朽化しており持ってても仕方がなく、軍事予算を投じて廃棄処分をするならば発射してデータでも得たほうがいいという考え方なのかもしれない。また防衛力を見せることで米国に攻撃することは危険だという印象を与えようとしている側面もある。
かつてアメリカは大量破壊兵器を持っているとしてイラクに侵攻したことがある。
共和党ブッシュがイラクを攻撃したなら、共和党トランプは北朝鮮を攻撃するという可能性もある。
そして北朝鮮はイラクのように攻撃されないために反撃手段を持っている、北朝鮮側の見方をすれば建国以来最大の危機と言えるかもしれない。かつてのようにソ連の後ろ盾もなく中国も昔ほど北朝鮮を重視していない。そして世界中の独裁者が抹殺されている。今回も攻撃を防ぐことができれば北朝鮮の防衛政策は正しかったとも見ることができる。
しかしその長年の国運をかけた努力もミサイル発射基地を先制攻撃すればすべてが水の泡になる、そして既にアメリカはその場所を突き止めてる。
それゆえに今北朝鮮はしきりに攻撃的な姿勢を見せて万が一があれば反撃することを示唆し脅迫しているともいえる。幹部が暴走しているというより、自分たちの既得利権維持に躍起にになっている構図がある。金正恩はお飾り将軍であり、この暴走は金正恩主導とは考えにくい。
その一方でアメリカも過去20年の北朝鮮政策は間違いだったとし見直そうとしており今までの対応とは違う。すなわち戦争を避けたり攻撃を避けたりするという考えではないかもしれない。
仮に攻撃が始まり北朝鮮本土進攻ともなればいよいよ近隣諸国で戦争が起きるという冷戦以来の状況に陥る。今でこそ平和に見えるが朝鮮戦争があったり、中国と台湾はたびたび有事に陥ってきた、中国とソ連も紛争を行っていた。東アジアが平和だった時代の方が珍しいともいえる。
世界からどんどん独裁者がいなくなっていく時代は独裁国家や東側諸国、反米陣営に興味を持っている人からすれば少しさびしくもある。
シリアのアサドと北朝鮮の金正恩、この2人ががアメリカが狙うターゲットだろう。そして北朝鮮幹部はフセイン政権、カダフィ政権の幹部のようにみたいになりたくないのだろう。そう考えるとミサイル無しで最後までアメリカと渡り合ったカストロは革命家としてだけでなく為政者としても凄い。
とにかく今回北朝鮮はいつ攻撃してくるかわからない。
しかしそれ故にこの緊張を楽しんでいる自分もいる。小泉政権の頃はそういう緊張が今以上に高く楽しかったといえば楽しかったしそういう時代だからガンダムSEEDができた。このムードを盛り上げたほうが面白いアニメは出てくるかもしれない。
最近はアニメファンや子供ファンがどんどん戦争物に関心を無くし、戦争を題材にしたアニメや漫画は少なくなっている。癒し系日常アニメや異世界で無双するアニメが多く戦争物に関心がなくなってきている。それゆえにこの北朝鮮問題で少しは軍事に関心を持つムードが高まってきていて、この手の話題も多くなっている。平和の維持のためにもある程度こういった関心は必要だろう。軍事研究雑誌などが売れたり発売されたり、憲法や防衛体制についての議論が高まることは決して悪い事ではないはずだ。
また今回仮に攻撃が実行され北朝鮮が崩壊した場合の考察もするべきだろう。
緩衝地帯の北朝鮮がなくなった場合それは東アジアの秩序が崩壊するきっかけなるのか、それとも東アジアの経済が発展するきっかけになるのかも考えていきたい部分だ。北朝鮮の崩壊で米中露はどう出るのか、そして韓国はこのパワーバランスの関係に左右されるだろう。つい最近新大統領が誕生した韓国はこの難局にどう対処するだろうか。
新しく崩壊後の北朝鮮が発展するのか、それとも韓国との統一が実現されるのか。難民の流入という問題も起きるだろう。そして統一した韓国は莫大な負債を抱えることになりその支援を日本に要求してくるかもしれない。
実際に統一が果たされた場合よほど新しいマーケットとして中国やアメリカの外資が積極的に支援しない限り赤字になることは避けられない。実際に西ドイツもその問題で苦労し未だに東ドイツの負担が残っている。
もしくは北朝鮮で体制だけ変化し北朝鮮内に新しい政党や政府が作られ、将来的な統一を目指す方向での連邦制国家が誕生するかもしれない。韓国の国力を考えたときにすぐに韓国と同化することはありえないだろう。そして結局その新北朝鮮のまま統一せずに連邦制国家にすらならずにいつの間にか朝鮮民族が別の民族に派生していく可能性もある。
比較的友好関係にあったチェコスロバキアですら分裂する時代であり、長らく一つの枠組みに収まっていたスペインのカタルーニャやイギリスのスコットランドですら近年独立問題が取りざたされるようになっている。今世界は統一ではなく分裂がトレンドであり同民族と言えどもすぐに統一はあり得ない。
実際の所南北朝鮮はもはや70年も別の国家体制で凄し別民族に近い状態になってる。
また中露はいくら北朝鮮の体制が変わろうとも、独立は維持してほしいと考えているだろう。韓国も内心負担を抱える余裕がなく、中露も統一には反対でありほとんど統一を望む勢力が存在しないということも背景にある。
北朝鮮の問題は二国間の問題ではなく近隣諸国すべてが絡む地域問題だと言えるだろう。日本人も他人事や傍観者ではなく、当事者としてこの問題を考える必要がありそうだ。